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『Summer Night's Dream』
【青春 恋愛小説】

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『Summer Night's Dream』その5-8

その人物は、どうやら陽介と一緒に学校にいたらしい。
場所は、野球場とゴールのあるグラウンドの隅の草場だった。用務員がホントに仕事してるのかってくらい荒れ放題になっている。
生い茂った雑草を掻き分けて陽介が先に進んでいき、踏み倒した草の上を進んでいく。
時折、大丈夫か、とかそこ気をつけろよ、といった声が飛んでくる。
敷地内の一番奥の壁際につくと、そこに大きな木が生えていた。近くに群生している木の2、3倍はありそうな高さだ。


「それって、アレじゃねえか。体育倉庫のすぐそばにある一本杉だろ?」


話の途中で孝文が口をはさんできた。
確かに、ウチの学校で考えられるとしたらそこにある一本杉くらいだろう。
あまり目立つような場所ではないが、やたらとデカいので嫌でも目に付くのだ。


陽介とその人は、その木の下に何かを埋めたらしい。


「何かって?」


「さあ」


さくらが首を傾げていた。
肝心な部分は何も教えてくれない夢のようだ。
まあ、行ってみれば分かることだろう。


「どうする、今夜にでも行くか?」


陽介が聞くと、さくらは罰の悪そうな顔をして、


「ごめんね。今日はちょっと無理かも」


と小さく首を振った。


「お父さんが家にいるの」


彼女の父親が家に居るときは、常に目を光らせている為うかつに外に出て来れないのだそうだ。
どんだけ箱入り娘だよ。


「じゃあ、仕方ないな」


陽介がそう言って、次の日取りを決めようとすると、慌てた様子でさくらがそれを遮った。


「あ、待って」


「うん?」


「お父さんね、今週はずっと家にいるのよ」


それは困ったな。
別に期限なんてなかったけど、さくらの悩みは早めに解決してやりたかったし、何より部長がうるさい。


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