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同窓会
【理想の恋愛 恋愛小説】

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同窓会-6

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そう…思い出した。

あの告白のあとも、こうして強引に唇を奪われたんだった。

その藤木の強引さが、当時あたしの逆鱗に触れ、結果それで藤木を避けるようになったんだった。

『だって柏木はこうでもしなきゃ、俺の言うことなんか聞かないじゃん!』

あ…デジャヴだ…

――今の言葉、一語一句、あの時の感覚とシンクロしてる。

あたしを小馬鹿にしたような、憎らしいやんちゃな表情までそっくりだ!

今あたしの目の前に、あの日の藤木がいた。


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「あたしもうすぐ離婚することになると思う」

藤木が飲み足りないとあたしを誘う形で、地下のバーに移動した。

『それは柏木が望んだことなの?』

大人に戻った藤木はあたしにそう聞いた。

現実のあたしは28才で、目の前には、片付けなければならない問題が山積みだった。

3年続いた夫との結婚生活は、修復不能な程冷えきっていたし、大学卒業後から勤めてきた会社は、この不況で倒産寸前だった。

「たぶん…お互いがそう望んだんじゃないかな?もう今となってはどっちでもいい…」

あたしは吐き捨てるようにそう言った。

『なげやりになるなよ…柏木らしくない』

藤木は手に持ったロックグラスをじっと見つめていた。

「藤木…何もかもうまくいかない。あたしどうしたらいい?」

あの頃はよかったなんて言うつもりはないけどさ。

世の中は試験勉強とは違って、頑張った分だけ評価されるわけじゃないし、ご褒美だってそうそう貰えない。

それはわかってても、自分の頑張りが報われないのはやっぱりつらいし、それが続けば心だって弱ってく。

今のあたしはまさにそんな状態だった。

『柏木が悪いわけじゃないよ。俺はあの頃のお前しか知らないけど、お前はきっと、精一杯やってきたんだと思う』

藤木の言葉がじんわりと心にしみた。

涙を見られたことは恥ずかしかったけど、素のあたしを知ったあとも、こうして藤木は側にいてくれる。

誰かの言葉がこんなに嬉しく感じたのは初めてだった。

――それが藤木だから、余計にそう思えるのかな?


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