深夜の密会-8
そして、約束の時間。
黒い影は誰もいないロビーのソファーにひとりうずくまっていた。
[ 来たか…いい心がけだよ感心だな。 ]
[ さっさと…済ませちゃってよ。
あなたなんかに興味ないんだから… ]
[ あっそう…そんな事言って。
それならとりあえず白衣に着替えて来てもらおうかな…
そんなダサい格好じゃ、せっかく本物のナースなのにデリヘル以下じゃん。 ]
[ 冗談じゃないわよ。
ステーションなんて行けるわけないじゃない。 ]
[ いいのかい?…
まぁ、いいか。
じゃあ、さっそくだけどしゃぶる前にパンツを下ろして見せてみなよ。 ]
ちょっとばかりいい男に有頂天になっていた自分のバカさ加減につくづく呆れてしまう。
こんな時間にのこのこと病院に来て、こんな屈辱感を味わう事になるなんて…
泣きたくてしかたがないけれど、ベテラン看護士が献身的な気持ちでした過ちに涙を見せるのが悔しくて私は暗闇に下を向いて、そろっと下着を下ろした。
[ それじゃヘヤしか見えないだろバカっ!
ちゃんと開いて見せてみなよ。 ]
男はライターを手に私の股間に近づけた。
私はたまらなくなって、とうとう泣き出してしまう。
その時、裏通路から誰かが入ってきた。
下着を下ろした私を置き去りにして、男はソファーの影に身を隠した。
[ 西山…さん? ]
ぎしぎしと足を引きずって伊達さんがゆっくりこっちに寄ってきた。
[ なんだ…脅かすなよ。 ]
伊達さんの姿を確認して男は悪びれた様子もなく言い放った。
やはり二人はグルだったのか…
[ 黒川さん?… ]
タバコの匂いがした。
初めてここで見つけた伊達さんもタバコの匂いをさせていた。