深夜の密会-7
[ 西山さん…
あんた伊達のとこの西山さんだね? ]
伊達さんの仲間らしくガッチリした革のスーツに身を包んだ少し小太りのその男は薄いサングラスの向こうから好色的な目で私を捕らえていた。
[ 伊達から聞いたんだけど、あんたさぞかし上手いんだってな。
俺もひとつ頼めないかなぁ…本物のナースの… ]
顔からサァっと血の気が引いた。
この男のいやらしいだけの冷酷な目に足が竦んでしまう。
[ 何を…言ってるの。 ]
私と伊達さんの関係は、もはやクランケとナースの間柄じゃないと思い込んでいたのに…
私たちは愛で結ばれているからこそ、すでに少し不審に思われている深夜の抜け駆けにも平気でいられたのに…
[ いいのか?…
ここの看護士はみんなデリヘル嬢だって言いふらしちゃうよ。 ]
伊達さんの気持ちが知りたい…
最初からあの人はこんな軽い気持ちで私に近づいたんだろうか?
なぜ、二人っきりの秘密を友達になんか言いふらしたの?
こうなってしまっては私に選択肢はない。
泣き崩れてしまいたい気分だけど、ここは昼間の病棟なのだ。
[ 今夜…いつものとこに来てくれよ。 ]
[ 今日は…当直じゃないわ。 ]
[ だからどうしたんだよ?
いつも仕事でしゃぶってるんなら、休みの時ぐらい他の男をしゃぶってもいいんじゃないか?
それとも…俺の部屋まで来るかい? ]
結局私はこの男の要求に従って、夕方に一度帰宅してから夜になって忘れ物をしたとセキュリティーをくぐらなければならなかった。
深夜に私が訪れた事は記録として残るわけだが何かない限り表沙汰になる事はない。
何事もなければ…
非番の時にも男に会いに来たのかと勘ぐられるのを避けて、ステーションにはあえて顔を出さなかった。