深夜の密会-3
… … … …
[ 眠れますか? ]
看護士にとって唯一の楽しみといえば、時たまこうして巡り会える若い男性を手厚く世話できる特権だと言って過言ではないと思う。
その上タイプの男なんて、まさに万にひとつの出会いなのだ。
[ こうして何日もじっと入院してるとストレス溜まっちゃってさぁ…
やっぱり寝つきが悪いね。 ]
他のクランケの手前、つい声を潜めて話しかける私に対して笑いかける昼間の伊達さんは前にも増して素敵に見える。
[ あまり眠れないようなら先生に言ってお薬出してもらいましょうか? ]
私は照れてしまっている。
他のクランケと同じように伊達さんの体を拭く私は彼の顔がまともに見れなかった。
あの日以来、ついつい囚われてしまう妄想がいけないのだ。
[ 眠剤って依存しちゃうのが怖くてさぁ…
俺の友人にもこうして入院してから薬が離せなくなったやつがいるんだ。 ]
[ そんな事…ないですよ。
伊達さんに影響を残さないようにちゃんと先生がお薬出してくれます。 ]
[ そうかなぁ…
何だか飲みたくないなぁ。
それより西山さんがこうしてそばにいてくれた方がずっと安らぐんだけどな… ]
何度もいうけれど、私は自分で描く妄想のせいで動揺してしまう。
そんな妄想も彼のこんな接し方が原因には違いないのだが…
いっその事、これは彼の気持ちだとして素直に受け止めてしまってもいいのだろうか?
近い将来、私もこの人の子供を宿してサチホのような大きなお腹を抱えて歩く…
[ 何でいつもそんなにからかうんですか?
本気にしちゃいますよ。 ]
とっさに私は軽く裸の厚い胸に爪を立てた。
なんでそんなリアクションを見せたのか自分でもわからない。
顔が明らかに熱くなっている。