秘密〜何故〜-1
「なんなんですか!あの写真は!?」
「良く撮れてただろ?」
文化祭2日目。
私は、朝偶然出くわした陸先輩を部室に連れて行き、展示してある写真について詰問した。
けど、先輩は笑ってるだけで…余計ムカつく!
「今すぐ剥がして下さい!
私、あの写真のせいで、昨日から知らない人たちに指さされて笑われてるんですからね!!」
「それは、よだれ垂らして寝てた姫が悪い」
「垂らしてません!
ってか、何であんな写真なんですか!?
しかも、あんなに大きく引き延ばして!」
「大きく現像するの、ココじゃ出来ないから、写真屋に頼んだんだ。
いや〜金がかかって参ったよ。
今月金欠なのに…」
しょぼんとする先輩。
「じゃあ、何でわざわざあんな大きくしたんですか!?」
「その方が良いと思ったから」
先輩は急に真面目な顔をした。
「…え?」
けど、私にはイミがわからない。
「幸せそうに寝てるあの顔が、すっげーキレイだと思った。
だから、大勢の人に良く見て貰いたくて、大きくして、あれだけを展示した」
そう言い切った先輩の目は凄く真剣で、口調にも熱が込もっているように感じた。
「…っ」
私は何も言えず、顔が赤くなっていくのがわかった。
「な〜んてねっ」
先輩の目が、急にイタズラっ子のようにキラキラしだした。
「な〜んてねって…今言ったこと、ウソなんですか!?」
熱が一気に冷め、私は目を見開いた。
「後でモデル料払ってあげるから、今日1日、辛抱して下サイ」
先輩は笑いながらそう言うと部室を出て行った。
(完っ全に、からかわれてる!!)
私は机に手をつき、うなだれた…
私はこの日1日、調理室に籠り、ゼミで売るクッキー作りに専念することにした。
(はぁ、篤也が文化祭に来ないことが、せめてもの救いかな…
寝顔なんて見られてるけど、あんなに大きく展示してあるなんて恥ずかしい…)
この土日、篤也はバイトが入っていた。
何でも、バイト仲間が急に都合が悪くなったらしく、篤也が代わったんだとか。
(まあ、来て貰っても一緒に回れないしね)
「はぁ…」
私は、今日何度目がわからないため息をついた。