「prelude」-10
「コージ…?」
「あ。」
「なにしてんの?」
「…砂羽、どうしたんだよ。」
「は?なにが?」
「なにがって…泣いてんじゃねぇかよ…」
「泣いてなんか、な…いっ…」
やだ。
なに。どうして…
何で…こんなとこ、見られたくない…
「…今日、家誰もいねーからちょっと休んでけよ。そんな顔じゃ、心配されっぞ
…」
「ぁ、りが…と……」
「お、おぅ。」
リビングに通され、ソファに座ってボーっとしていると、コージが紅茶を入れて
持ってきてくれた。
「…紅茶なんて入れられるんだ…」
「なっ!バカにすんなよ!紅茶くらい入れられるっつうの。」
「…あったかい……」
「………」
「…何があったか聞かないの?」
「…何、聞いてほしいわけ?」
「……」
「いーよ別に。言いたくないことの一つや二つあるっしょ…」
「ありがとう…」
ニカっと笑ったコージの顔が懐かしくて、優しくて、また泣けてきた。