まちぶせ-3
あははは、そうだな。 さあ、どこか暖かいところへ行こうか?
先輩! 見たい映画があるんですけど。
いいよ。じゃあ、その映画を見に行こうか?
ひろみの選んだ映画は、フランスの恋愛映画だった。
ひろみは、貴之と二人で甘い時間にひたりたかったのだが、
その映画はひろみが考えていたものより大人向けのものだった。
冒頭から濃厚なラブシーンが続き、終盤では男女が裸で求め合い絡み合うもの
だった。
先輩、ごめんなさい。
こんな映画だと思わなくて・・・・・・
大丈夫だよ。見たくないところは見なければいいじゃないか。
僕は、平気だよ。
先輩・・・・・
ひろみは、貴之の腕にすがりつき、激しいシーンになると目を伏せるようにして
いた。
貴之は、目の前のラブシーンより、貴之の腕に押し付けられたひろみ胸が気になっていた。ひろみにその意識はないのだろうが、貴之の腕にひろみの胸のやわらかさがはっきりと伝わってきた。貴之は、目の前のラブシーンに、自分とひろみを重ね合わせずにいられなかった。
気がつけばひろみを見つめていた。
ぬけるように白い肌、艶やかな髪、そして、少女のように可憐な瞳が自分を真直ぐに見つめていた。
先輩?
どうしたんですか?
ひろみ・・・・・・
綺麗だ・・・・・・
貴之が、ひろみを抱き寄せる。
せ、先輩!
次の瞬間、貴之の唇が、ひろみの唇に触れていた。
ラブシーンの度に、貴之とのキスが繰り返される。
ひろみは、舞い上がらずにいられなかった。
ひろみは、いつしか自分から激しく貴之の唇を求めていた。
先輩・・・・・・ 好き・・・・・・・・
小さな声で、しかしはっきりとひろみは言った。
僕もだ。
貴之も夢中で、ひろみの唇をむさぼった。
んんん。
ひろみは、震えるような快感に、体をくねらせ、あえいでいた。
キスって、こんなに気持ちいいものなんですか?
キスを止め、貴之がひろみを見つめる。
初めてなの?
はい。先輩だけです。