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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈国王篇〉後編-14

「瑛琳も水玉を作れる、先代バン神官も地玉を作れたらしい。」

「それを作れたら何かあるのか?」

頭に浮かぶ疑問をそのまま千羅に投げた。

「力のバロメーターみたいなもんだよ。あの玉は自分の力を他人に使用させる事が出来るんだ。」

それは凄く精密な作業で、技術はもちろん強い力の持ち主でしか出来ない、特殊な物だと千羅は続けた。自分は技術も力も足りないのだと呟く。

「あいつは、国の民が強く奇跡を願った時に叶える、奇跡自体を創ろうとしているんだよ。」

千羅の眼差しはカルサを捕らえて離さない。また1つ、光玉が美しい輝きを放った。

「オレ、あんまり気にした事ないけど…千羅も十分強いだろ?」

伺うように、心配するように貴未は言葉を綴った。その気持ちが伝わったのか千羅は微笑む。

「そう思うのは貴未が強いからだ。」

貴未の目は大きく開いた。強い、自分にそう言われたのは初めてのような気がする。

「オレは強くないよ。永の方が力が強かったし、今の力もカルサに補ってもらったもんだし。オレはある力を操作してるだけさ。」

照れ隠しをしている訳でもなく、別に悲観している訳でもなく、笑って貴未はそう言った。

「世界の全ての入り口である界の扉と唯一リンク出来る男だぞ?」

「だからそれはオレの力じゃないって。」

手をひらひらと振って否定した。おだてるなよと言わんばかりに笑ってみせる。

「そのドデカイ物をお前は使いこなしてるんだ。技術は何よりも強い力だぞ?ゼロにも無限にもなる。」

ゼロにも無限にも、その言葉は貴未にとって新鮮なものだった。

「そんな考え方があるんだな。」

自然と笑みがこぼれた。お前の強みは感性、改めて言われた言葉を素直に受けとめられる。世界に唯一と言われる自分、その意味を理解しないといけない。

自分自身を知る事が最大の力となり防衛とも攻撃ともなりえる。

貴未は自然な気持ちで千羅を見た。今日何回目かの千羅の横顔、彼の視線の先にはカルサがいた。いつものようにカルサを見守る姿は見慣れたものだが、さっきの言葉は普段見せない内に秘めた何かを垣間見た気がした。

「気にしてる?その…力のこと。」

言いにくそうに貴未が尋ねた。驚いた顔を見せたが、その言葉の意味に気付き千羅は笑って答えた。

「気にならないと言ったら嘘になるけどな。でも瑛琳曰くオレの強みは心なんだそうだ。」

「心?」

千羅は頷き、左手の親指で自分の心臓あたりをトントンと叩いた。心と言われて貴未の脳裏にいくつか思い浮かんだことがある。


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