こたつとみかん-6
雄一郎:「……ああ、そういうことか」
美春:「実際にトランプ使って見てみるとわかるでしょー?」
玲奈:「……ちゃんとピザ奢ったんだから教えてよ」
雄一郎:「いくらした?」
玲奈:「四人分で3800円……」
雄一郎: 「ごちになります!」
美春:「ごちそーさまー」
翼:「悪いね」
玲奈:「いいから答え教えてよー!」
雄一郎:「いいか? まず美春の出した問題。要するにこれは、『上下があるかないか』で分けられていたんだ。握りつぶされていたのは、全部上下がはっきりしているカード、握りつぶされていないのは、上下がないカードだ。つまりこのダイイングメッセージは、逆さにしても同じ、というメッセージ。だから犯人は、逆さにしても同じように読める名字の真島勇三だよ」
玲奈:「あ、あー!」
美春:「次は翼のやつねー」
雄一郎:「俺もなんとか解けたよ、これ」
翼:「即席で作ったやつだからね。雄一郎でも解けるよ」
雄一郎:「嫌味なやつだな」
玲奈:「で? で?」
美春:「そもそもCさんが居間でパーティーしたいってごねるのおかしくない? こたつって普通居間にあるじゃん」
玲奈:「うんうん」
美春:「Cさんはねー。こたつを見て、それがなにかわからなかったのよ。だからそれをベッドかなにかと勘違いしたの。なぜならねー」
雄一郎:「Cさんは外人なんだ」
美春:「あ、ちょっとー! あたしのセリフとったなー!」
玲奈:「外人? え、なに? だからなんなの?」
翼:「にっぶいなー。日本人なら絶対に食べない、この季節特有のミカンがあるだろ? あるものの上に……」
玲奈:「あ! 鏡餅!?」
雄一郎:「正解。まあ正確にはあれはミカンじゃなくて橙だけどね」
玲奈:「あー、悔しい! これがわからなかったせいで3800円……」
雄一郎:「で、お前のやつの答えも言って欲しい?」
玲奈:「……別にいい」
翼:「犯人は雄一郎だろ? 男性サウナに入れるのは男だけだから」
美春:「あたしも玲奈っちも翼っちも女の子だからねー」