こたつとみかん-3
玲奈:「みはるーん。お願ーい。お、し、え、て?」
美春:「あたしねー。お寿司がいーなー」
雄一郎:「一番高えよ」
玲奈:「うう……。いいもん。自分で解くもん」
美春:「じゃあねー。あたしも問題を出してあげよう」
翼:「ほー」
美春:「えっとね。ある男が殺されましたー。そしてその男は、ダイイングメッセージを残してましたー」
翼:「それで?」
美春:「えっとねー。その男はー、殴られた後遺症で手しか動かなくなってたんだけどー、なんとか犯人の名前を残そうとしたのね」
雄一郎:「どこで殺されたの?」
美春:「その男の家に犯人が忍び込んだのー。そんでー、倒れた男の手元にはー、トランプがあったのー」
玲奈:「トランプ……」
美春:「男はトランプでダイイングメッセージを残そうとしたの。それでねー、上から一枚ずつカードをめくっていったのね」
翼:「ふむ」
美春:「男はねー、あるカードは握りつぶす、あるカードは大事に置くっていうふうに、カードを二種類に分けることでメッセージにしたのよ」
雄一郎:「やべ、混乱しそう」
美春:「まあ今までのは結構どうでもいいところだから、別に覚えなくてもダイジョーブ。重要なのはこっから」
翼:「おっけー。解いてみせましょう」
美春:「男の握り潰したカードは、クラブの3、クラブの5、ハートの6、ダイヤの7、スペードのA、ハートの9。握りつぶさなかったのは、クラブの10、スペードのK、ダイヤの3、ハートのJ、ハートの10、ダイヤのA。男は本当は全部こんなふうに分けるつもりだったんだけど、途中で力尽きちゃったの」
翼:「順番に意味は?」
美春:「んとね、ない。分けかたの法則? みたいなのだけがポイント。でねー、容疑者は四人。市原紅子(いちはらべにこ)、真島勇三(まじまゆうぞう)、大谷愛(おおたにあい)、角田六助(かどたろくすけ)」
翼:「わかった」
美春:「もう?」
翼:「何冊ミステリー小説読んでると思ってるんだ。嘗めないでよ」
雄一郎:「お前らすげえな。ちっともわからん」
玲奈:「ねえ……。ハンバーガーって単品でいい?」
翼:「当然セットでしょ」
玲奈:「うう……」
雄一郎:「もうしばらく時間くれ。絶対解く」
玲奈:「あ、ねえ! あたしも思いついた!」
翼:「言ってみ」
玲奈:「あのね、銭湯のサウナで男の人が殺されたの! 犯人は私たちのだれか! さて、誰でしょう!」