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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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白雪姫=白雪=女大魔王-1

1 あの脅迫ラブレターがきっかけで、白雪と付き合い始めて一週間が経った………が、白雪は相変わらずだ。
付き合い始めたら、少しはおとなしくなって女らしくなると言う考えは甘かったらしい……。

『白雪姫=白雪=女大魔王』

俺、太田憲の朝は平穏無事とはいかない。
普通の一軒家に住んでる普通の一般家庭な我が太田家はサラリーマンの親父と自宅で小学生向けの塾をしている母親、そして姉貴と俺、柴犬のゴエモンの四人と一匹で構成されている。
そんな我が家の………いや、俺の朝は三日前までは平和だった。平和だったんだ(泣)!!

三日前は日曜日、母さんはもちろん、親父まで最近は早起きだ。姉貴は起こさなければいつまでも寝る。前に23時間寝続けた事があった。あまりに寝るので救急車を呼ぶかなんかで騒いでたら起きやがった。
それで、俺はと言うと、もちろん学生の安息日とも言える日曜日を睡眠と言う行為で有効活用していた。
その日は妙な夢を見ていた。白雪がドレスを着て、ガラスの棺に寝かされていたのだ。
名前が同じだから、白雪姫なのかは置いといて、セオリー通り、七人の小人がすがりつくように泣いていた。小人の一人が独に似ていたような記憶もある。………クッ!駄目だ、思い出した。笑える………。
………まぁ、それで有名な物語の通りに俺は白雪姫な白雪にキスをしようとした。で、直前で母さんにたたき起こされたんだ。


「ほらっ、憲、シャキッとしなさい!!友達が来てるって!」
「……友達ぃ?誰だよ、日曜日の朝から来る奴なんて」
階段を降りる俺の後ろから母さんが言う。愚痴りながら俺は階段を下まで降りる。その足で、洗面所で顔を洗う。
「上がってもらったからね?でも、憲も隅に置けないわねぇ。あんな美人な子と知り合いなんて。」
美人……?美人の知り合いなんていな………いや、いた。知り合い以上の関係の美人だけど美人らしくないのが一人。でも、アイツがいるわけゃ………。
「確か……矢城さんだっけ?」
母さんのよく喋る口から、たった今、脳内否定した名前が出た。
歯ブラシを加えたままリビングに走る。ドアを開けるとゴエモンを撫でる白雪がいた。
「あっ!おはよう、憲くん」
くん……?白雪は俺をいつもは憲と呼び捨てにする。それに不満は無い。寧ろ、嬉しい。
が、今、白雪は俺に『くん』を着けたぞ?ね、猫被ってやがる。
「な、なんでお前がここにいるんだ!?」
歯ブラシを右手に持ってから叫ぶ。(俺は歯磨き粉を着けない派なので、泡は飛ばないのでご安心を)
「こらっ!矢城さんはお前が約束の時間になっても来ないから、心配になって来てくれたんだぞ?」
お、親父!それは嘘だ!!俺は約束してない。してたら、目覚まし五個は置いとくぞ!遅れたら殺されるからな。
「あ、お父さん、良いんですよ。憲くんが無事だっただけで、安心しましたから」
猫かぶり白雪に優しい口調で話された親父はすぐに厳しい顔を崩して、笑みを浮かべる。親父には悪いが、気色悪い。
「いやぁ、良い子だ。こんな良い子と友達だなんて、憲!お前、幸せ者だな!」
あぁ、それが猫被りじゃなかったらな。
ゴエモンまで甘えてやがる。動物にまで腹黒さを隠し通すとは、コイツの変わり身は擬態と言ってもいいぞ。恐ろしい。
何にしても、わずかな時間で家族を味方につけやがった。
「あの、誉めすぎですよ」
苦笑いを見せる白雪。
あ、親父の顔が更に崩れたぞ。だらしねぇ……。
「お父さん、何、にやけてるの!矢城さん、お茶をどうぞ」
母さん、あんたも人のこと言えないって。
「朝から、何騒いでるのよ?」
そこに、姉貴まで起きてきた。姉貴は今年で22だ。ここ三年は浮いた話がない。容姿はそれなりだけど。
「わっ!誰、この美人?」
こら、指さすな。
「あ、憲くんのお姉さんですか?憲くんとお付き合いさせてもらってる、矢城白雪です」
……………家族全員が呆然としてる。目が点になったと言う表現は、こういうときに使うんだろうな。
「憲?」
「憲、お前……」
「ウソ!?憲の彼女!?」
「…………」
全員(と一匹)がこっちを見た。ゴエモン、何でお前まで。
「あ、あぁ、そうだけど?」
ふん、驚いたか!!
「姉のわたしが言うのも何だけど、この馬鹿の何処が良いの?」
馬鹿とは失礼な。アンタより、高校の成績良いぞ。
白雪は顔を赤く染めながら答えた。
「優しい所、です」
それだけ?なんか、こう、他に無いのか?
……まぁ、いいや。付き合い始めたのはアイツが俺に惚れたからだからな。好いてくれるんのなら、それで良い。
質問攻めになる前に、俺はさっさと着替えて、白雪と共に部屋に向かった。戦略的撤退ってやつだ。


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