コンビニ草紙 第十四話-2
今日はなんだか一日ずっといれて不思議な感じ。
もし、もっと仲良くなれたら、頻繁に訪れる事が気兼ねなく出来るのだろうか。
お茶をしたり、色々お互いの事をもっと話す機会が増えたら良いな。
―そんな事を考えていると彼が二階から降りてきた。
「お待たせいたしました。それじゃあ、行きましょうか。」
一瞬はっと息を飲んだ。
満月の下に桜が舞っている柄の入った紫紺の着物。
色の白い彼に濃い紫色の着物がとても良く似合う。
彼は本当にこの世界の人なのだろうかと思うくらい美しかった。
いつも履いている雪駄ではない物を下駄箱から出し、履き替えると
私の前に立つ。
「…りょーこさん、どこか具合、悪いんすか。なんかさっきからぽーっとしてますど…。」
「え?え、全然。なんか、藤本さんが綺麗だったので、見とれてしまいました…。」
彼は、呆気にとられた顔を一瞬すると、微笑んだ。
「ありがとうございます。でも、りょーこさんの方が綺麗すよ。
さぁ、行きましょうか。」
にっと横目で笑い、店のドアを開けようとする彼から樟脳の香が微かにした。