改:愛・地獄変 〜地獄への招待〜-1
(序章)
私はここに告白いたします。
父と娘の間の愛の哀しさを、どうしても告白せずにはいられないのです。ここにおいでの殆どの方々が、おぞましさを感じられることでしょう。が、私にしてみれば恐ろしいことながらも、快楽でした。無上の歓びと申しましても過言ではありますまい。
私は十有余年の間というもの、告白の機会を伺いつつ今日まで口をつぐんできたのでございます、はい。娘の命日である今日のこの日に、お集まりの皆様方に是非ともお聞き頂きたいと思いまして。
私と致しましては、このことを決して罪悪だとは思っていないのでございます。が、この一週間というもの、嫌な夢を毎晩見続けたのでございます。その夢というのが、何とも身の毛もよだつものでございまして。
夢━それは地獄の夢なのでございます。あなた方は、閻魔大王の存在を信じておられますでしょうか?いやいや、地獄そのものの存在を信じていらっしゃる方は、少ないことでございましょう。かくいう私と致しましても、信じたくはないのでございます。このような恐ろしいものがあってなるものかと、思うのでございます。
どうもお待たせいたしました。前置きはこの位に致しまして、その夢についてお話しましょう。と申しましても何しろ夢のことでございます、突飛な事柄もございます。荒唐無稽と思われるかもしれません。又、私の感じた恐怖感を十分にお伝えできないかもしれません。しかしどうぞ、お汲み取りいただきたいのでございます。