お江戸のお色気話、その7-1
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大江戸八百八町の中の中で、裏の裏で生活している人たちにも
それなりに楽しみはある。
日銭を稼ぎ、女を買ったり、酒を飲んだり、
たまに稼ぎがあるときなど、芝居や寄席へ足を運ぶものもいる。
長屋には、底辺に生きる人達の縮図のように様々な人達がいる。
概ね、この長屋にはことさら貧乏人が多い。
ゆえに、人種や職種は様々ではあるが、
その貧しさゆえに、一体感のようなものがあり、
なには無くても、とりあえずその場限りでも逞しく生きていくという、
雑草のような強さがあった。
その裏長屋では、或る夏の夜に貧しいながらも、
老人の部屋では、「宴」が興に入っていた。
そこでは、金吉という少し間の抜けた男の話題に夢中になっていた。
「へえ、そうなんですよ、初な娘と、妖艶な奥方を両方いただけるとは・・
あたしは夢にも思いませんでしたよ、
神様も、こんなあたしでも味方しているんでしょうかねぇ」
「そりゃあ、どうかなぁ、まぐれだろうよ・・
神様は、金さんのような人に味方したんじゃ、
その神様の名前が廃るというもんさ」
左官屋の為吉が茶化す。
「ちぇっ、嫌なことをいう為さんだな、
余計なことを言っちゃった、
ええと、どこまで話したんだっけな・・
そうそう娘を脱がしてだった」
「そうだよ、これからが良いところだから、
たっぷりその場面を思い出して
あそこがビンビンになるように、
おいら達に聞かしておくれ、金さんや」
と、どこからか催促が掛かる、
それに気をよくした金吉は、
顔を赤らめ下唇を舐めながら話を続ける。
「いいともさ、それから・・
あたしは娘の体中を舐め回していると、娘は(はぁはぁ・・)
と、熱い息を吐き出しているもんだから、
桃のような乳が揺れながら波打って、それが何とも色っぽいんですよ、
あたしは、その娘の顔を見つめて
割れ目に指を差し込んだら
そこは、もうぐっしょりと・・・こんなところだったかな」
「そうそう・・そこでご隠居の横やりが入ったんだよ」
「なんだい、為吉、その・・横やりとは・・」
「あっ、へえ・・すんません、ご隠居、いたんですかい」
「馬鹿を言うんじゃない、
わしの部屋に、わしがいないでどうするっ」
老人は怒ったわけでなく笑いながら言ったので、
聴衆は大笑いをした。
この長屋の人たちは仲が良い。
「さて、その娘ですが・・
あたしのあそこはもうはち切れそうなほど
固くなっていましたし、そろそろ・・と思いまして」
そこで老人が口を挟む。