僕とあたしの海辺の事件慕 第二話「不可解な出来事、しばし」-9
「ん、うん……わかったわよ。真琴君……一緒にイッてあげるから……しょうのない子……」
まだ何か外の様子を伺う公子の態度にムッとした真琴は、彼女を強引に振り向かせ、キスで言葉を封じる。
「ん、んぅ……ん、ちゅう……」
「はむ、んちゅ……ちゅ、ちゅ!」
キスの快楽に溺れる二人を浮き上がらせるのはセックスの快感のみ。二人の舌が絡み合うと同時に目を見開き、そして爆ぜる。
「あ、ああああぁぁぁあああん」
きゅっと縮まる膣内に再び尿道を絞られる。精液がドクリと走り、亀頭がビクンとはねる。柔らかになる膣襞と肉質の違う子宮口に諭されながら、真琴は射精を促される。
「わ、わぁあああぁぁ……」
心細くなった公子は手探りに彼を求め、指一本一本を絡め、痕が残ることも構わないぐらい、強く握る。
「は、はあぁ……はあぁ……ん、はぁ……」
「ふぅ、はぅ……ふぅうう……ん……」
快楽のおりなす浮遊感に煽られ、二人は爪先で立ってしまう。なれない姿勢のせいか、それとも沸き起こる快楽のせいかフルフルと震え、先に耐えられなくなった公子は彼に体重を預ける形でもたれかかる。
「公子……さん……」
踵を踏ん張るもそのまま滑り、背後にある椅子にドンと座り込む。
「ん、んぅううう……」
まだ固さを保ち、天を向う陰茎が彼女の敏感になっていた膣内部を乱暴に抉り、とくとくとした快楽に酔いしれていた彼女をさらに強い悦楽の境地へと突き上げた。
「くくくぅ……っ!」
今まで感じたことの無い衝撃に歯を食いしばり、真琴の膝に爪を立てる公子。膣に吐き出される熱意に内側を焦がされ、どこに力を入れるべきか分からずにいた。
「ん、……あはぁ……」
溜め込んだ息を吐き出し、彼の腰の上にだらしなく股を開いて腰掛ける公子。
二人は崖の下のことなど忘れ、このまま繋がっていたいとすら思えていた……。
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年上としての余裕を見せたいのか、公子はふらつきながらも身体を離し、よたよたと件の窓辺へと歩み寄る。
「ねぇ、こっち……来て……」
セックスの余韻なのか若干艶めいた口調に真琴はふらふらと釣られていく。
「はい……」
まだ気だるさのある身体は右へ左へとふらつきつつ、なんとか彼女の隣へとたどり着く。
灯台すぐ近くの崖の下は岩礁地帯となっており、波が当たる度に白いしぶきが舞っていた。
――コレが気になることなの?
性の快楽を邪魔するにはいささか理由不足。けれど彼女は何かに焦っているらしく、真琴は注意深く周囲を見る。
遠くには遊泳禁止を示すロープとブイが浮いており、人が来る気配が無い。また遊
泳区域とあり、釣り人もおらず寂れた場所だが……。
「あれ! 人? どうしてあんなとこに?」
崖沿いに行くこと数メートル、小島というにも小さい岩に囲まれる形で倒れているのは頭の薄い中年男性。それも昨日見てしったばかりの弥彦の姿であった。