僕とあたしの海辺の事件慕 第二話「不可解な出来事、しばし」-4
けれど……、
「私も来年三十かあ……。なんかもっと遊びたかったなあ……」
目の前の女性はムッとくる色気を醸し、手でパタパタと扇ぐとこれ見よがしに胸元を見せ付ける。
――ッ!?
谷間にかすかに黒子が見えた。
「真琴君も昨日は海にお風呂場に……楽しそうね。私なんて職場でオヤジ達にお尻触られるくらいよ?」
丸みを帯びたお尻は澪や理恵より一回り大きいが、それは肥満に順ずるものではなくあくまでも女性的な丸みの発露。もし触れられる位置にいたら、事故に見せかけて触りたくもなる。
「なんてね、おばさんがこんなこと言ったら気持ち悪いよね?」
公子はそれだけ言うと身を翻し、割れていない窓辺に向かう。
「そんなこと……ないです……」
お尻を印象付けるように突き出す彼女。ときおり「あー、みんな楽しそう」と左右を向いてはお尻をフリフリする。
「公子さんは……探さないんですか……」
誘蛾灯に誘われる蛾のごとく、真琴はふらふらと歩み寄ってしまう。
「ん〜、それよりも、もっと楽しいことしたいな……」
流し目を送る彼女は椅子を手繰り寄せて座ると、背もたれが悲鳴を上げるぐらい寄りかかる。
「たとえば……?」
「若い子とアバンチュール? なんてね……」
肩膝を抱き上げる彼女。股間からは黒いレースの下着が見えた。
「そんなの、いけません」
「いいじゃない? 誰に断る必要も無いんだしさ。だって、君も私もフリーじゃない」
風がおさまっているのか、展望室にはムッとする熱気が籠もっていた。
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「あのね……私、前の仕事辞めたの、本当はセクハラが原因じゃないの……」
太腿に高級そうな黒のショーツを掛け、だらしなく股を開く公子。
「はい……ん、じゅぷ、ちゅぷ……はむ……」
彼女の眼下では若ツバメが懸命に赤い秘裂から溢れる蜜を啜っていた。
「料理長とね、不倫してたのね……」
「不倫……ん、むちゅ、レロレロ……んちゅ……」
陰毛を掻き分け、手で陰唇を開き、包皮から顔を出すクリトリスをクスリ指でかするようにさする。
「ん、だめ、クリ弱いから……あ、そう……上手よ……真琴君」
舌先でちょんと舐めて唾液で滑りをよくすると、公子はうっとりとため息をつきながら真琴の髪を撫でる。真琴は正解を誉められた子供のようににこりと笑顔を返す。
「でもね、彼は結婚してたこと黙ってたし……遊ばれてたのね」
遠い目で呟く彼女を見ていると胸が苦しくなるのを感じ、同時に妙な憤りを覚える。
真琴は右手を伸ばし、サマーセーターの膨らみを強く揉み始めた。