僕とあたしの海辺の事件慕 第二話「不可解な出来事、しばし」-36
「澪、僕が必ず守ってあげる。一人しないよ……」
寸前まで迫った唇は頬に触れ、ショッパイ水を舐め取ってくれる。
「くすぐったいよ……」
「うん」
「うんじゃなくて……」
「好き」
「好きだけど……」
「澪……」
「真琴……」
真琴を受け入れたい。このまま朝まで一緒にいれば、繋がっていれば何も怖くない。
けれど……。
「お願い、一緒にいて……」
「言ったでしょ? 一人にしないって……」
細い腕は枕に不適合。
指を絡めると細かい汗がネトネトして気持ちが悪い。
多分塩を含んでいるのだろう。
けれどそれも今は都合の良い接着剤。
――もし、真琴が求めてきたら……。
横になる真琴はタオルを丸めて枕を作る。こっちを見るとくすりと笑うのが癇に障る。
―― 一体いつからこんなマセガキになったのかしら? きっと梓のせいね……。
「澪……」
「ん?」
「オヤスミ」
けれど隣にいるのは自分のよく知っている幼馴染。
ただの真琴の寝顔でしかないのに……。
続く