僕とあたしの海辺の事件慕 第一話 「思い出のペンションは元病院」-5
◆◇――◇◆
「澪、その水着は?」
「どう? 似合う?」
黄色のセパレートの水着は露出面積こそ少ないものの、身体にぴちっと張り付き、
そのラインを見せてくれた。胸にそれほどボリュームがないものの、ついこないだより気持ち大きくなっており、凝視する自分がいた。
「エッチ、どこ見てるのよ?」
胸元を手で隠す澪に真琴は照れた様子で頭を掻く。
「ゴメン。その魅力的だから……」
「うふふ、真琴君はエッチな子だからね……」
ムクリと起き上がる理恵はこれまた煽情的なビキニ姿で、D程度の胸と柔らかそうなお尻、控えめなオヘソと日焼け止めが太陽の光できらめいていた。
「理恵さ……ん」
唾を飲みこみ、目を伏せるも、学校指定の紺色の水着がゆっくりとむっくり起き上がるのが切なかった。
「あらあら、真琴君どうしたの? 腰が引けてるわよ?」
――知ってるくせに……。
「もう、馬鹿なんだから!」
「でも、澪も可愛いよ……」
「何が可愛いよ、よ・っていうか「も」ってなによ! 「も」って!」
明らかに間違った言葉選びの仕打ちは両頬を抓られ、ぐりぐりとねじられることだった。
「い、痛いよ澪……ごめんってばあ〜」
「もう、節操なし、スケベ! 変態!」
その後、真琴の頬が真っ赤にはれ上がったのは言うまでも無い。
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「そーれっ!」
レンタルしたビーチボールを天高く打ち出す理恵。
「はい!」
澪は水しぶきを上げながら落下地点へ走り、真琴のほうへ向ってトス。
「うわぁあっと……」
深みに足をとられた真琴は倒れ気味にレシーブ。ビーチボールは理恵の胸元へと上がるも、彼自身はそのまま海中へダイブ。
「あはは、真琴君、それ! アタック!」
理恵は倒れた真琴に容赦なくボールをぶつけ、指をさして笑う。
「真琴ってばだらしないわね〜、ほら立って……」
海水をぺっぺっと吐く真琴に手を貸し、ボールを掲げて再開を促す。
理恵は高い球を容赦なくアタックし、今度は澪が尻餅をつく。
「あっはっは、そーれ!」
「もう、理恵さんったら! 真琴、行くわよ!」
「え? うん!」
運動神経抜群の理恵は長い手足でどんな球も捌き、いつの間にか澪&真琴対理恵の構図が出来上がっていた。
「ふふふ、二人がかりでも不足無し! さあさ、どんどん来―い!」
きわどい場所を狙うもしっかり返され、逆に間を突かれると、澪は真琴と目を合わせて止まってしまう。