恋人に捧げる舞子の物語(煌星編)(その1)-6
…ああっ…あっ…
男は剃刀で少しずつあなたのベージュのショーツを切り裂いていく…。
「ああっ…いや…お願い、やめて…」
切り裂かれるショーツから、あなたの性器の地肌が少しずつ冷気に晒される。やがて裂かれた
ショーツが、無惨に足首に絡むようにはらりと落ちる。
一瞬、噎せるような熟れた女の生あたたかい芳醇な匂いがむっと漂い、太腿の付け根には乳色の
蕩けるような肌とは対照的に、漆黒の繁みがふわりと生え上がるように靡いていた。
あなたはその青い静脈が薄く浮き上がった太腿の付けを擦るように恥ずかしげに閉じようとし、
縄で括られ固定された足首をじりじりと突っ張る。あなたの脳裏で恥辱という言葉が渦のように
巻き、嗚咽となって苦しげに洩れる。
「まるで、男を誘惑するような淫乱な毛じゃないですか…」
その汚辱に充ちた言葉を吐き捨てるように男は言った。そして、その縮れた繊毛の一部を摘みあ
げるように指に挟む。その繊毛の毛先は艶々と輝くような湿り気をもっていた。
羞恥の源というより、どこか淫猥で噎せるような鬱蒼とした黒い繁み…その何とも言えない悩ま
しく縮れた漆黒の陰毛は、深みのある濃艶さをもち、その奥には女の秘められた割れ目が妖しく
翳っていた。
男はゆっくりとその柔らかい亀裂に剃刀の刃をあてがう。その金属の冷えた感触が、どこか研ぎ
澄まされた疼きをあなたの陰部に誘う。
…ああっ…
「…どんな男たちの唇で、ここを愛撫させたのでしょうね…そして跪く男たちの口に注ぎ込んだ
あなたの聖水…」
「やっ、やめてー」
男の吐く言葉を遮り、あなたは火照った頬を男から背ける。
男は薄笑いを浮かべながら、あなたの背後から艶やかな弛みのない臀部に掌を触れた。なみなみ
とどこまでも白い光沢をたたえた量感のある双臀…その雪白の双臀を縦に深く刻む細い翳りが
股間へと悩ましく続いていた。そのわずかな窪みさえ熟れた女の艶やかな色気を漂わせている。
「奴隷男の接吻の奉仕を受けたミストレス様のお尻ですか…」
むっちりとした肉感のあるあなたの尻肌を、男が手にした剃刀の腹が卑猥に愛撫する。その剃刀
の薄い刃に、そのしっとりとした餅肌がねっとりと吸いつく。
男の持つ剃刀があなたの肌を淫靡に這い、執拗に愛撫を続ける。やがてあなたの体中の性感が、
まるで深い眠りから目覚めるように毒々しい疼きを脈打ち始めていた。
無機質な灰色のコンクリートの壁に囲まれた部屋に、どこからかラフマニノフのピアノの音が
限りなくゆるやかに聞こえてくる。それは、あなたの恋人があのころ好きだった曲だった。
鉄の格子の入った高窓からは、澄みきった秋の夜空にあの見慣れた星が煌めいていた。
その光の瞬きの中には、あなたの密やかな追憶の残滓がどこか切なく漂っているようだった。