運命の人-2
このまま熱が下がらなかったらどうしよう?
私は、1人きりで高熱の先生の看病をすることに不安を覚え始め、心臓が早鐘のようにうるさく鳴っていた。
でも、ここには私しか居ないんだし、今は私が何とかするしかないんだ…
頼りない自分に、“負けるな!!”って気合いを入れた。
何度目かの氷をつぎ足し、根気よくおでこのタオルを交換するうちに、段々と先生の顔に穏やかさが戻ってきた。
「はぁ…先生落ち着いてきたかも…」
それからしばらくすると、先生は静かな寝息を立てて眠り始めた。
「…よかった。ひとまずはこれで大丈夫だね…」
先生の安らかな寝顔を見ているうちに、安心して気が抜けたのか、フウッ…と眠気が襲ってきた。
♯♯♯
先生の寝返りの振動だろうか?…私は一瞬体が揺れたように感じ、目が覚めた。
「やだっ。私、先生と一緒に寝ちゃってたんだ…」
どのくらいの時間が経ったんだろう?
時計を見ると、午後1時を少し回っていた。
たしか、先生が落ち着いて眠り始めた時間が11時半だったから、あれから1時間半も寝ていたことになる。
あっ、そうだ!―――先生に水分摂らせなくちゃいけない。
私がキッチンでグラスに水を入れて戻った時だった。
ちょうどタイミングよく先生が目を覚ました!
「先生…気分はどう?」
『―――ゆりこ…なのか?』
「そうだよ…由里子だよ!」
『ぁあ…俺…夢見てたから…一瞬…夢の続きかと…』
先生は、まだ夢から覚めたばかりのぼんやりとした表情で私を見つめた。