……タイッ!? 最終話「告白しタイッ!?」-13
「それじゃあこれは私が預かっておくわね」
「はい」
手放しに喜ぶ理恵はストラップのことなどどうでも良いらしく、久恵と一緒にはしゃいでいる。
「さて、第三試合だけど、うんと、そうね。あー、そういえばあいつら遅いわね。そうだ。人探ししてきてくれる? 題して相模原のウォーリーこと稔と優を探してここに連れてくる!」
「よっしゃ、行ってくる!」
「負けないんだから!」
ウォーリーのくせにウォーリーを探せとのたまうも、今度こそ勝つぞと熱血をたぎらせる二人はさっさと走り出す。
理恵は久恵と意気投合したらしく「一緒にお祭りを見てくるね」と去っていく。
「先輩、なんかむちゃくちゃじゃないですか? っていうか、なんで先輩が景品もらってるんですか」
「だってこれほしかったんだもん。ほら、ご当地ものってなんか集めちゃうじゃない? よく駅とかに売ってる方位磁石付の地図みたいなキーホルダーとかさ。自慢じゃないけど九州は完成してるわよ」
「あー、わかります。って、そうじゃなくて、それ理恵さんのでしょ?」
「いいのいいの。さてさて、コレクションが増えましたっと……ん?」
ストラップを取り出した彼女が一瞬固まるので、紀夫もそれをひょいと後ろから見る。
メイドインチャイナ。
どうやら海ひとつ超えてのご当地ものらしい。
**
ヨーヨーの売れ行きがよく、日が沈むころにはストックも無くなりかけていた。
客にたいしては妙に丁寧で愛想の良い紅葉のおかげだろう。
「ふぅ、もう箱からですよ?」
「ありがと。じゃあごみだけまとめておいて。それと、小銭ばっかね。両替してきてよ」
「両替なんてできるんですか?」
「境内に役員用のテントあるでしょ。あそこでしてくれるから」
「はーい」
――そういえば里美さん。どこにいるんだろ。
結局誘えなかった彼女。
彼女の方から来てくれるのではと期待していた甘い自分。
その結果が両替金を持ってうろつくことを招いたのだった。
五十円や十円でいっぱいになった袋を片手に石段を行く紀夫。行きかう人はワタアメや水ヨーヨー、折り曲げると光るなぞのブレスレットをしたり、たこ焼きやフランクフルト、りんご飴などを食べていた。
――みんな楽しそうだな。
自分もそのお手伝いができたと思うと、今のこの疲労感も心地よい枷。
「ん?」
水色の涼しげな浴衣。黄色の帯。髪が団扇の弱い風にあおられてさらさらと揺れるのを見た。