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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 最終話「告白しタイッ!?」-12

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「とったぜー!」
「私だって!」

 意気揚々として帰ってくるのはもちろん綾と美奈子。しょんぼりしている理恵はストラップ片手に久恵に手を引かれている。

「さあ、こんどはどうだ? あたしの圧勝だろ?」

 綾が抱えてきたのはランドセルぐらいの狸のぬいぐるみ。丸っこくてどこに当てれば倒れるのか、そもそも倒れるのか不思議なものだが彼女はとってきたらしい。

「んーん、ここは私の勝ち!」

 対して綾の持ち出したのはビッグサイズのお菓子。ご当地限定とあるが、どう見ても四国名産品で相模原の面影も無い。

「ん〜、これは甲乙つけがたい」

 両者の品物をそれっぽく見つめる紅葉だが、比べるものがものだけにどちらを勝利とすればよいのか彼女も言い訳が見つからないらしい。

「えっと、理恵さん?」

 今にもぐずつきそうな理恵に駆け寄りわけを聞く紀夫。

「ごめん、ノリチン。理恵、取れなかったの」
「お店の人おまけしてくれたんだけどね」

 理恵が持っているのは相模原市のマスコットのストラップ。景品に与かれず落ち込んでいた彼女に見かねた店員がくれたおまけらしい。

「キャプテンは?」
「私はこれ」

 久恵は小さなキャラメルの箱を取り出し、ひとつ彼に渡す。昔懐かしいおまけ付の箱だった。

「一粒で五百メートルだって」
「何がですか?」
「さあ? 走るときの消費カロリーとか?」

 四人の景品を見て改めて神妙な面持ちになる紅葉。先の結果が結果だけに、今回も油断はならないと息を呑む瞬間。

「コホン、この勝負」

 今度こそ勝利とばかりに勝ち誇る綾と、食い下がる美奈子。あきらめムードの理恵は久恵の袖に隠れていたが……、

「理恵さんの勝ちです」
「えー!」

 五人の声が重なるもそれはまさに悲喜こもごも。当然ながら誰も納得ができない面持ちだが……。

「まあ聞きなさい。いい? 今日のお祭りは何祭り? ただの夏祭りじゃないの。相模原の夏祭りなの。ということはよりそれに関連あるものが評価高くなるのよ」
「はぁ」

 みな狐につままれた顔をするしかないが、ルールブックの彼女に逆らって失格にされてもつまらない。

「まず美奈子のポッキー。これどこの名物よ? そして綾の狸。下呂温泉ってあるわよ。久恵のは一粒五百メートルってあるけど六粒だから三キロは離れてる。でも理恵さんのだけは正真正銘ご当地もの。よってこの勝負貴方の勝ちよ」

「わーい!」

 当然のごとく納得のいかない顔をしているのが綾と美奈子。久恵は首をかしげながらも喜ぶ後輩に拍手をしている。


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