【気まぐれ彼女と気弱な僕と】-12
この１ヶ月はやたら長く感じた。嫌われようと連絡先だけでも聞くんだった‥と何度も悔やんだ
いつ来るか解らないからオムライスとハンバーグとチキンナゲットをローテーションで２人分作り、結局残りを次の朝に回すという事を１ヶ月間繰り返していた
比奈子と会った公園や行ったスーパーには毎日行き食材を揃え、外にでる機会が増えた分、私服の身だしなみにも気を遣う
元々、大衆の１人というポジションが好きなのだ。変な格好をして恥ずかしい思いをして浮きたくない
ある程度のファッションを‥と緻密に計算してベーシックなアイテムを地道に増やす事でセンスが格段によくなった気がする
しかし幸か不幸かスーパーのおばちゃんや公園の犬の散歩に来た人達としっかり顔なじみになり、一部で勝手にアイドル扱いされてしまったりして地味に困っていたりする
その他に尻に指を突っ込み比奈子にされてる事を妄想しないとイケなくなった
今回は外で会うのだから緊張感が割増される。一週間前などに言われなくて良かった。きっと今日、寝不足でげっそりしていただろうから。
場所はお洒落な都心のホテルのラウンジだった
(この前みたいな思いはしたくない)
とりあえず美容院にいこうかとも思ったが結局足を踏み入れる勇気がなく近所の床屋に行った
最新かどうかは差し置いても髪とヒゲを整えた分、前よりは見栄えがいい。服は迷った挙げ句ショーウィンドウのマネキンの服を上から下まで買った
先に来て窓際に座っていた比奈子は遠目から見ても可愛らしくて何だかんだいってもやっぱり釣り合わない気がしたが誉めてくれた。少しホッとする
『格好いいから始め誰かわかんなかった』
『そお？』
『うん』
こうゆう場所は落ち着かないと思っていたが格好が違うだけで不思議といつもより気が楽だった
小一時間話した後比奈子は傍らのブランド物の紙袋をテーブルに置いた
『あたしからプレゼント、早速使ってみて欲しいな』
まるで誕生日のプレゼントを差し出す恋人のようだった。中身をみてギョッとする悠二に比奈子は表情ひとつ変えない
『大丈夫よ、』
嬉しそうな比奈子が差し出した紙袋の中には極太のバイブと T字カミソリとクリームが入っていた
『アソコの毛を剃ってそれをいれてくればいいの、簡単でしょ？』
声を抑えた比奈子が妖艶に笑う。
『ちょっと用事があるから、2時間後にこの部屋で。あ、先に行っててもいいけど』