揺れる想い-1
―――12月
佑介と結ばれたあの日以来―――
佑介との関係は、加速度を付けて深まっていった。
心の繋がりはもちろんのこと、体の方も―――
佑介にとって私が全てだったように、私にとっても、佑介はかけがえのない存在になりつつあった。
そんなある日の放課後―――誰もいなくなった私の教室に迎えにきた佑介は、こんなことを口にした。
『由里子…進路のことなんだけどね。俺、K大やめてアメリカの大学に行こうと思ってる!』
「え―っ、佑介…急にそんなこと決めたの?」
佑介には8才年上のお兄さんがいて、佑介はそのお兄さんのことをとても尊敬していた。
だから、『俺も兄貴と同じK大目指すんだ!』って、だいぶ前からK大に照準を絞って、受験勉強に打ち込んできたはず…
―――突然、降って湧いたような留学の話に私は驚いた!
『ん――、実は前から頭の片隅にはあったことなんだけどね…』
「え…そうだったの?」
『うん。由里子は、俺の親父が小さな会社やってること知ってるじゃない?』
「うん。佑介のパパ、佑介の家で会ったとき、確かアンティークの輸入家具を扱ってる会社やってるって言ってたよね」
『うん、そうなんだ。うちの中にある家具とか…ああいう感じのね。最近は、雑貨の方にも手を広げているみたいで』
佑介の家に遊びに行くと、玄関やリビングなど、家中が素敵なヨーロッパ調の家具やアンティークの小物達で飾られている。