白銀のたまご〜パチプロチーコの生活-3
[ ヤダっ!
今のオナラじゃないわよ
…あんなに激しくするから空気が入っちゃったのよ ]
実際、私もオナラしちゃったのかと思った。
でも、空気が抜けたのが明らかに前の方だったから、私は慌てて弁解してしまった。
[ わかったよ、わかってるから… ]
笑いながらいうシゲルがまたムカつく。
この男と一緒に棲んでるのはお互い収入が安定しないじゃない。
勝ってる時はいいけれどパチンコなんてそう、いい時ばっか続かない。
だから共同生活だと一人より、なんとかやってけるんじゃないかと思って…
実際、あの時は行くところがなかったしね…
でも、シゲルはダメだ。
だってこの男、本当に勝負運がないんだから…
運とかなんとかいうより下手ね。
勝負が下手なのよ。
セックスは好きだけど、こんな男と一緒にいたって女は咲けないよ。
ましてやダメな男の面倒みて一生をムダにするなんて、とんでもない。
途中で置いてきぼりにされたから言うんじゃないけど、いいヤツだけどただそれだけ…
コイツといると私は時々不安になってしまう。
… … … …
目当ての台に座れなかった。
パチンコの機械というものは本当に人の手で造られたものかと疑うほど不可思議だ。
誰にも予想できやしない。
それでも、私たちプロは開店と閉店には必ず居合わせて機械の経過を観測してクセを見る。
運と努力と…もうひとつは考え方。
この3つがどれを欠かしても生き残れない仕事なのだ。
私が目当てにしていた台は昨日で合計26回の当たりを出していた。
その前日が29回で前々日が22回…
いい数字ではないけれど、客の回転はまずまずだから不調でもこのぐらいの数字にはなる。