メルファ・人形残酷(?)物語4-11
バラバラに粉砕されたメルファの人形遺体は鉄のトレーに並べられた。
見せしめの為、人形工房のPR展示室でトレーごと展示されるのだ。
ジッと遺体を見つめるのがディックと、乳母車を押している女性人形。
乳母車の中には、身長が15センチぐらいの可愛い子供人形たちが5人…
穏やかな表情でスヤスヤと眠っている。
メルファが裁判にかけられ、死刑にされると聞いてディックはやって来たのだ。
何も言わず、ディックは立ち去ろうとした。
すると…
目の前に1人の女性人形が立ちはだかった。
「あら、ルーシーじゃない?」と、女性。
「久しぶりフレデリカ」と、ルーシーは微笑む。
ディックの連れの女性はルーシーの友人であるフレデリカ・デイトナ。
「こんな所でルーシーと会うなんて」
ルーシーとの、思わぬ顔合わせにディックはビックリする。
ディックを見つめるルーシー。
「エルファの変わり果てた最後を見て、どんな気分?」
しばし、間を置いたディック。
ルーシーと視線を合わせずに語る。
「悪い事しちまったんだろう?
仕方ねえよな」
「でも、大切なフィアンセが死刑になってしまったのよ。ショックじゃないの?」
「別に、どうもねえよ」
「へえー」
意外な返事にルーシーはビックリした。
でも内心では、ある程度は予想していた事だった。
ディックはしかめた顔で言葉を続ける。
「フィアンセ、フィアンセ…って言うけどよ。
オレはメルファとの結婚の約束をよ、解消しようと思ってたんだ」
「そのコと一緒になる為でしょう?」
思わず、ニヤリとするディック。
「流石、ルーシーだな? 情報が早いぜ」
「さっき、ボックル会長から教えてもらったわ」
「そうか」
「結婚オーケーの承諾も貰ったのね?」
「虹の楽園郷行きはダメだったけど、結婚の方はスンナリと承諾してくれたぜ」
「虹の楽園郷は、人形なら誰でも住めるってもんじゃないわ」
「らしいな」
虹の楽園郷に住めなくて、ディックはガッカリしているが…