双子の姉妹。 1-4
***
「あ、俊哉」
「…香織」
「出てたんだ」
「ああ」
大学の帰り、キャンパス内で旧友に会った。
旧友とはいっても、大学も同じ、学科も同じの女の子だけど。
俺はバイトがあるし、金がないために付き合いが悪いから、恥ずかしながら友達は少ない。
しかしこの香織は高校から一緒で、どちらかといえば友達と呼べる部類の子。
高校ではかなり仲が良かったから、既に下の名前で呼び合う仲にまできていた。
香織は明るく誰とでも話せる子なので割と人気は高い。
可愛いしスタイルもいいと評判だし。
スタイル…
あのお子様二人よりは確かにいい。
こう…うん…胸とか。
「じっと見てどうしたの?」
「あ、ああ、何でもない」
いかんいかん。
「そうだ!俊哉、これから時間ある?」
今日は久しぶりにバイトがない。
「あるけど」
「うそ!やった!じゃあこれからそこのファミレスで話さない?」
「ん、おっけ」
香織はうれしそうな顔で俺の手を引いた。
まあ、たまにはいいよな。
***
まだ夕飯時ではないものの、ファミレスは非常に混雑していた。
この辺りは学校が多いからだろう。
学生服の姿もちらほら見える。
しかし周囲の雑音も、香織と向かい合うと全く気にならない。
恋愛に無頓着で奥手、さらには鈍感と言われてきた俺だけど、こんな可愛い子と二人となると、嫌でも期待してしまう。
「俊哉ってさ、付き合い悪いよね」
うっ…即ぶっ断切られてしまった…
「まあ、忙しいし」
金がないのはかっこ悪いから内緒。
「高校の頃はまだ今よりは遊びに行ったりしたのに」
まだ今よりは、か。
そうだよな。高校の頃は勉強ばっかしてたけど、たまには遊んでた。