双子の姉妹。 1-2
いつものように、いや、自分がこの家族の一員であるかのように、自然に食卓についた。
「いただきます」
目の前の大皿には山盛りの唐揚げが乗っている。
いや、これはもう盛ってあるというより積んであるというレベルだ。
「俊哉くん、作りすぎたから沢山食べてね」
「おばさん、いつもですよね」
「ばれちゃった?」
「いや、助かります」
「そうよ、俊哉はこの家で晩ご飯にありつかないと生活ままならないからね」
「麻琴、お前なぁ」
「もう俊哉くん、いっそのことこの家で暮らせばいいのに」
「ぶっ!嫌よ!」
「そう言ってもらえるとうれしいですけど、それはまずいと思いますよ」
「あたしはせんせが一緒に暮らしてくれたら勉強すごい楽なのに」
「おいおい琴音」
相変わらず、すごく賑やかだ。
向かいに座っているのが麻琴と琴音のお母さん。こう見えて着物の店を経営している。
左に座って、ちまちま唐揚げを箸で摘んでいるのが麻琴。
右に座って、唐揚げを頬張っているのが琴音。
二人は双子の姉妹。
見た目は正直、瓜二つ。
まあ一卵性の双子だから当たり前。
普段は姉の麻琴は化粧をしていて妹の琴音は化粧っ気がないからそれで見分けているが、二人ともすっぴんだとさすがに見分けるのは無理だ。
しゃべれば一発でわかるけど。
それに普通、双子の姉妹は顔だけじゃなく何でも一緒ってイメージなんだけど、こいつらは性格が全然違う。
大人びていて今どきの女の子って感じの姉、麻琴。
子どもっぽくて頑張りやな女の子って感じの妹、琴音。
そんな二人。
ちなみにおじさんはアメリカで貿易関係の仕事をしているらしい。
年に一、二度しか帰ってこないとか。
未だに俺は会ったことがない。