重なり合う2人-4
そして、ゆっくり落ち着いた口調でこう言った。
『さっき俺に、試したのか?って聞いたよね』
「佑介もういいよ、その話は…」
これ以上、気まずい空気に包まれるのがイヤで、私は佑介の話を遮った。
『ううん。ちゃんと聞いて欲しい!俺、由里子に伝えたいことがあるから…』
佑介は、ベッドに座っている私の足元にしゃがみこみ、うつむく私の顔を覗き込んだ。
『話してもいい?』
「…うん」
『俺ね、由里子を試すつもりなんてなかったよ。ただ…』
「ただ…?」
『俺―――由里子を佐々に盗られるんじゃないかって、毎日ビクビクしてたから…』
「うん…」
『由里子とそういう関係になったら、由里子はあいつのこと、忘れてくれるんじゃないかって…』
「…思ったの?」
『―――思った。バカだよな…俺って単純。こんなこと言ったら、由里子に引かれるかも知れないけど、俺由里子のことは、死ぬまで愛し続ける自信あるよ!』
「佑介…」
『でも…今の由里子見てたら、完全に俺が暴走してただけなんだ…って分かっちゃった』
「………」
こんなに気弱で、思い詰めた表情の佑介を見たのは、知り合って以来初めてだった。
私の知る佑介は、いつだって明るくて自信に満ち溢れてて、仲間達の中心で笑っている人だったから。