男漁り-1
晴れやかな日曜日だった。
三井さんと二人。
かなり早くから車で出かけて、首都圏を抜け出したのがもう少し前の事だと思う。
この、三井さんと二人で出かけるのは初めての事。
本当なら初デートってところだろうけど、私にはもちろんそんな実感はなかった。
ただ…暇だったから付き合ってあげただけ…かな?
[ ねぇ、今日はどこまで行くの? ]
[ 金沢… ]
しばらく間をおいて返ってきた答えに私は[ えっ? ]っという表情が隠せなかった。
三井さんは言ってみれば同僚なんだけど、中途採用だから本当だとちょっと先輩にあたる。
いい人だと思う。
心からそう思うけど、尊敬できる友人ぐらいにしか私には受け入れられなかった。
帰宅途中でたまたま出会って、近くのレストランで食事に付き合ってから特に親しくなった。
私はきっと、いやらしい女なのかも知れない。
真面目で親切で誠実な三井さんにちょっと飲みに誘われた夜にあたかも悩みに苦しんでるように女の弱みを演出して、三井さんの誠実さをからかってみた。
それからホテルに行った。
私は[ まだ、帰りたくない ]なんて言っては三井さんにしなだれて男を刺激したのだった。
こんな事は何度かやった事だし、誠実な人を見ると私はぜひそんな事をしてみたくなる悪い癖…
ホテルに連れ込んでおいても戸惑いを隠せない三井さんを楽しんだ。
私にとってはイベントなのだ。
[ 大丈夫か? ]
[ しばらく…こうしてたら良くなるわ
私…信じてるけど、あなたと二人っきりでこんなとこに来たからってそんなつもりないのよ ]
そうはいうけれど、私はこの誠実な男をどうやって誘惑するか楽しんでいた。
[ 分かってるさ…
君はそんな人じゃない ]
三井さんはベッドの上に私を横たわらせたまま、離れてお茶を飲んでいる。
この人の心の中で今、どれだけの葛藤が展開されてるか想像しただけで楽しくてしょうがない。
私は誠実な人を誘惑する小悪魔で会社の帰りだから、まさか胸元の開いた服装はできないけれど下着なんかは見せるためのものをわざわざ社のトイレでさっき付け替えて来ている。
言うまでもなく、最初から抱かれるつもりなのだ。