みなみの反乱-4
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『みなみ…ごめんな…』
「佐々くんは謝らなくていいのよ!悪いのは私なんだから…」
『でもみなみをここまで追い詰めたのは俺だから…』
「私、分かってたの。いつか佐々くんが佐伯さんのところに戻ること…」
『みなみ…』
「だから私、いつだってその時の為に覚悟して、きれいに身を引くつもりでいたんだけど…ダメだった」
『お前…』
「佐々くんのこと、スキになり過ぎちゃったみたい」
みなみはそう言うと力なく笑い、目に涙を浮かべながらそっと手を差し出した。
俺がみなみの手を取ると、温かさが戻ったその手でそっと握り返してきた。
そして…みなみは俺にこう言った。
「私の死はね―――前から決まっていることなの…」と。
それは長い告白だった。
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みなみの話によれば、みなみには以前婚約者がいたそうだ。
しかし婚約直後その彼が血液の病気を発症し、壮絶な闘病生活が始まった。
幸せの絶頂にいたみなみは、一気に地獄の底へと突き落とされた訳だ。
それでも持ち前の明るさで彼の回復を信じ、闘病を支えた。
しかし彼の方はと言えば…最後まで病気を受け入れることが出来ず、日に日に生きる希望を失っていった。