身代わりの果て-4
♯♯♯
『みなみ…俺もうお前と一緒にいれない』
彼は屋上の柵を背に、いつになく真剣な眼差しで、私の顔を見つめそう言った。
分かり易いなぁ…
言い訳1つしないほど、もう私から気持ちが離れちゃってるってこと?
ううん…元々彼の中に私は居なかったのかも知れない。
最初からあの子の身代わりだってこと…私は分かってて抱かれたんだから。
ここで、彼に泣いてすがって取り乱すことが出来たら、きっと楽なんだろう。
キレイさっぱり彼のことを忘れられるのかも知れない…
だけど…私にはそれが出来ないことも、だから物分かりのいいフリしちゃうことも彼は分かってる。
よく似てるんだよね…あなたと私。
「バカだね…こんないい女振って…」
『うん…』
「あとで後悔しても知らないよ!」
『うん…』
「佐々くんのバカ!!」
『ごめんな、みなみ…』
もう涙が溢れて、これ以上ここには居られなかった…
私は彼の側にいることが辛くて辛くて、走って屋上をあとにした―――
さよなら、佐々くん!
大好きだった!!
あの日教室で起きたこと
―9ヵ月の軌跡― I
「身代わりの果て」―完―