再会した2人-4
「聞いてもいい?」
涙で濡れた小さなこぶしを握り締めたまま、俺を見上げた由里子が愛しくて、今すぐにでも抱きしめてしまいたかった。
由里子をこの腕の中に抱いたあと、柔らかく悶えるであろうその唇を、塞いでしまいたい衝動にかられた。
『由里子…少しでいい、俺に時間をくれないか?』
俺はとっさにそう切り返した。
こんなごまかし方…最低だとは思うけど、ここで由里子の質問に答えたら、俺と由里子の関係は永遠に終わってしまう…
由里子はキョトンとした顔で俺を見た!
由里子…“覚悟してたのに!”って顔に書いてあるよ。
でもな…俺はお前との関係を、ここで終わらせる気はないんだ!
誰が何と言おうと―――絶対に!!
俺は由里子の涙を拭いてやり保健室を出た。
この時―――みなみと寝たことを初めて後悔した。
あの日教室で起きたこと
―9ヵ月の軌跡― H
「再会した2人」―完―