祐介の挑戦-1
―――9月
「みなみ先生って、最近キレイになったと思わない?!」
『佐々先生と付き合ってるってウワサだよね?!』
「それってホント?!」
『みなみ先生のクラスの子が言ってたから、間違いないんじゃない?!』
「へぇ〜 結婚すんのかな?!あの2人って…」
『かもね!!』
俺は、朝の通学電車の中で、偶然佐々とみなみのウワサ話を耳にした。
その直後―――
隣で急にふらつき、倒れそうになった由里子を慌てて支えた。
『由里子、とりあえず次の駅で降りて休もう…』
「うん…」
♯♯♯
俺は抱えるようにして由里子を次の駅で降ろし、ベンチで休ませた。
「佑介ごめん…私のせいで遅刻だね」
由里子はすまなそうに俺を見上げそう言った。
『全然かまわないから気にすんな… 由里子と一緒にいれんなら、俺遅刻したってラッキーだし!!』
「佑介ったら、またそんなこと言って…」
由里子は“からかわないで!”って顔してるけど―――俺ホントにそう思ってるよ。
元々は気持ちが弱ってた由里子を、少しでも支えてやれたら…って思って、毎朝家に迎えに行くことにした。
だけど、今じゃ横に毎朝由里子がいなきゃ、俺は一日だって耐えられそうにない。