「瓦礫のジェネレーション」-8
「さっきあんたをイカせてあげたモノでしょ?お礼にちゃんとよくしてあげないと、今度はイカせてあげないよーん」
葉子の言葉から、目の前のモノがさっき自分の尻を犯した男のモノだとわかった。余計に抵抗感が強まる。しかし、拓也は気が付いてしまった。自分からせがんで彼のモノをしゃぶるという選択肢しか今の自分には残されていない。さもなくば自分はいつまでもこの蛇の生殺し状態から解放されないのだ。
(俺は、快感をえさにこいつらに慣らされてしまうのか……)
絶望のため息が拓也の口からもれる。諦めというよりは快楽への欲望に負けて、拓也は史哉のものを口にした。精液の臭いに吐き気をもよおしながら必死で舌を動かす。史哉のモノは本格的に勃ち上がり、ドクドクと脈打ち始めた。その間も康浩のアヌスへの攻撃は休むことなく続けられている。拓也は早く自分もイカせて欲しい一心で、必死に史哉のモノに舌を使った。
史哉のモノが拓也の口中でひときわ大きくなると、史哉は拓也の頭を押さえ付け、のどの奥深くに尽き入れた。そこに、思う存分白濁を放つ。
「ふぅ、始めてにしちゃ上出来。よほどイカせてほしいと見える。では康浩くん、よろしく」
史哉がおどけて言うと、康浩は最後の仕上げにかかる。
「さ、好きなだけイケよ」
康浩の言葉は拓也の耳には入らなかった。
「ああぁっ、あっ、あっ、イクっ……ふう」「はっ、はっ、ああっ、また、またイクっ」
前立腺への刺激に頭を左右に激しく振り立て、射精のない、終わらないオーガズムに苛まれる拓也だったが、やがて康浩に向かって懇願の言葉を吐いた。
「おねがい、もう、終わりに……終わりにして…くれ……でないと、こわれちゃう…はぁっ、またイクっ」
「もうかんべんしてあげようか、とりあえず」
美咲の言葉に康浩はうなずくと、拓也のペ○スを激しくしごき立て、射精を促した。
「ああぁっ、イク……うっ」
呻き声をあげて拓也が果てたのと同時に、康浩も拓也の中に放出した。
すっかり快楽に溺れて我を忘れてしまったかおりを、美咲は冷ややかな目で見ていた。美咲の肩には尚美が甘えかかり愛撫をせがんでいる。さっきまでの周囲の痴態の中で、尚美もかなり濡らしていたようだ。うるんだ目で訴える尚美に、美咲はやれやれと思いながら隣室へ連れていき、そこにあるソファベッドの上で指を使い好きなだけイカせてやる。ぐったりとした尚美をおいてシャワーを浴びる。心の中ではしらけたような気分のまま、バスローブに身を包んでもとの一番広い部屋へ戻る。
ベッドの上では、やっといくらか正気を取り戻したのか悲しみと恥辱に泣きじゃくるかおりに、健志が甘い言葉をささやきながら新たな陵辱を加えようとしている。拓也はと見ると、葉子の手と口によって無理矢理に奮い立たされて半べそをかいている。
冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、栓を開けて飲もうとすると、陸に横取りされた。
「ちょっとぉ、陸、私のビールよ」
「ま、いいじゃん、俺と美咲の仲だし」
「どういう仲よ」
美咲は笑いながら陸からビールを奪い返すと、のどへ流し込んだ。
この場にいるメンバーはグループの幹部にあたる。その中でも陸は、唯一美咲に対して対等以上の口を利くことができる立場にあった。地域の顔役の娘である美咲と、ここを選挙地盤とする代議士の次男である陸とは、子供のころからのつきあい、いわば幼馴染みである。美咲が高校生の時に母を亡くし、更にその直後に起きた不幸な出来ごとのために道を踏み外した時、既に親の敷いたレールから外れてアウトローの生活を送っていた陸とともに行動するようになったのは自然のなりゆきだった。
飛び抜けた財力と冴えた美貌、冷酷な性格に加え、陸の後ろだてもあって美咲はたちまちグループの女王として君臨した。
美咲の冷酷さの陰にある寂しさを知る陸は、今日のカップルに対していつもに増した陵辱を加えずにいられなかった美咲の心の闇を思うと、暗胆たる気持ちに襲われていた。その思いを振払うために、陸は無理にでも陽気に振る舞わずにいられなかった。