「瓦礫のジェネレーション」-34
翌日。
下校するかおりの目の前に健志の車が止まっていた。
(どうして…? 昨日『もうしない』って言ってたのに。そんなに私を傷つけたいの?)
立ちすくむかおりの前に運転席から降りてきたのは、あの日健志と一緒にいた、葉子と呼ばれていた女だった。
「加納かおりさん、よね。私のことは覚えてるでしょ?」
「……はい」
「健志が呼んでるんだけど、来てくれるわよね」
(呼んでる?やっぱりあれだけじゃオモチャにし足りなかったのね……ひどい人。あんな人、好きにならなくて良かった)
「嫌です。昨日ちゃんとお断りしたじゃないですか。もう用はない筈です」
葉子の目が光る。昨日断わったってことは、やっぱり『K to K』は『健志からかおりへ』だったのだ。
「あなたになくてもこっちには用があるんだけどな。とにかくお乗りなさいよ」
そう言うと葉子はかおりを無理矢理助手席に押し込み、自分も運転席に乗り込むと車を発進させた。
かおりが仕方なくシートベルトを閉めると、後席から腕が伸びてきた。
(誰?何?どういうこと?)
「おっと。大人しくした方がいいと思うよ」
あっという間にかおりは目隠しをされ、猿ぐつわをかまされていた。両腕はシートの外側から回された腕におさえつけられ、身動きが封じられる。
「いいわよ史哉、始めちゃって」
「本当にいいんすかね、葉子さん」
「大丈夫。健志もあとから来るから」
史哉は前に回した手でかおりの胸に触れる。
「ん、んん」
(いや、やだ……なんでこんな……)
「俺、この前の時は男の方にかかりきりだったから、全然相手してないんですよ。ああ、言ってたとおりだ。乳首の感度がいいみたい。もうコリコリになってるし」
「実況はいいから、可愛がってやりなさいよ」
「はい、すみません葉子さん」
史哉はペコンと頭を下げると、かおりの胸に集中した。強弱をつけてつまんだり擦ったりするうちにだんだんとかおりの息が荒くなる。
「くう……ん」
(いや……誰か助けて…どうかなっちゃう……)
かおりは心の中で助けを呼んだ。でも、誰を?誰も助けてなんかくれる筈がないのに。絶望が襲う。なげやりな気持ちになったかおりは、抵抗する気力を失っていた。あの時と同じように。
「気分出してきたみたいだね。ふふっ、じゃあ楽しもうか」
史哉は体を前に乗り出し、耳たぶを嘗めたり咬んだりする。両手はいつのまにかかおりの肌にじかに触れていた。指先の感触も耳もとでささやく声も、健志とは違う。
(なんでこんな時にあんな人のことを思い出すのよ……)
目隠しの影で涙がこぼれた。こんな気分でも反応してしまう自分の体が悲しかった。
車が着いたのは美咲のマンションだった。美咲は学校からまだもどっていないらしく留守だったが、葉子は合い鍵で入ると、目隠しのままのかおりをベッドに転がした。
服を全て脱がせ、両腕を前で合わせてひじと手首をガムテープで縛り会わせる。
「あ、そうそうこれも」
葉子はかおりの両足首に手錠をはめた。
「ひゃあ、葉子さん今日はなんか残酷じゃないですか」
「いいのよ、これくらいで丁度」
「それにしても健志さんまだかなあ。遅いですね。待ち切れないよ、俺」
「私、連絡してみるわ」
葉子はそういうと携帯を持って隣の部屋へ行き、すぐに戻ってきた。
「健志がさ、先に始めててくれって。30分くらいで来れるってさ」
「よし、じゃあ俺、こないだ出来なかった分がんばっちゃうぞ」
史哉はそう言うと、かおりを四つん這いにした。後ろから胸をまさぐり、既に濡れ始めている花芯に激しく楔を打ち込んだ。猿ぐつわの奥からかおりのくぐもった悲鳴が聞こえる。