「瓦礫のジェネレーション」-29
健志の部屋はきちんと片付いているとは言い難いが、かといって散らかり放題というわけでもない、いかにも男の部屋という感じだった。本棚の大量の本と椅子の背にかけられた白衣が医学生らしさをかもし出しいる。健志は後手で鍵をかけるとドアチェーンをおろし、それから部屋の隅におかれたベッドの側までかおりを押しやると、いきなり抱き締めた。
「や、やめて下さい……」
「かおり、ダメだよ。ここまできてそれはナシだ」
健志は強引にかおりの唇を唇でふさぐ。かおりの体はすぐに反応して抵抗していた力が抜け、健志の胸に体を預けた格好になる。
そのままベッドに押し倒し、ブラウスをまくりあげてブラをずらし、乳首にキスをする。
「いや、いやです……ひどい」
かおりは言葉では抵抗するものの、体には力が入らないようで、弱々しく首をイヤイヤというように振るだけだった。
制服のスカートのホックを外し、脚のほうへずらして脱がせると、パンティに指をかけて膝までずらし、足の指で器用にはさんで脱がせる。それから、自分の服もあわてて脱ぎ捨てた。
「どうして? どうしてこんなひどいことするんですか…?」
かおりは息を弾ませながらも、泣き声になっている。
(どうしてって言われても……どうしようもないんだ。止められないんだよ)
健志は心の中でかおりにわびながら乳首への愛撫を続ける。
「や…ん、私、健志さん…のこと、いい人なのか……と思い始めてた……のに……ん、くぅっ……」
かおりは泣きながらも、沸き上がる快感にどうしても甘い声を漏らしてしまう。一生懸命に感じまいとして抵抗の言葉を口にするが、既に体からはすっかり力が抜け、色白の肌は紅潮して汗ばんでいる。健志がそっと指を股間に差し入れると、そこはもうすっかり潤っていた。
「ああ、かおり、困らせないでくれ……」
健志はそう言うと、高まったものをかおりの花芯にあてがい、一気につらぬいた。
「いやぁ……」
十分に濡れているとはいえ、ほんの数日前まで処女だったかおりの体は、健志のものを受け入れるには少々窮屈である。かおりの顔が苦痛に歪む。
(そういえばあの時は後ろからばっかりだったな。こんな顔で抱かれてたのか……)
健志はかおりのまぶたの端にたまった涙の雫をそっと吸い取り、かおりの唇を唇でふさいだ。かおりは苦しそうに首を振って逃れようとするが、健志はそれを許さずに唇を重ねる。体重をかけないように顔の両側に肘をついて腕で頭を挟むと、髪に手を差し入れ、かき乱す。
既に快感を憶えこまされている体は、すぐにそれを思い出す。かおりの腰は彼女の意思に反し、健志の動きに呼応するようにもどかしげに動き始めた。
「ん……、い…や……、い……」
「いいよ、かおり、すごくいい……一緒にいこう、かおり……」
健志の腰の動きがせわしなくなる。かおりはまぶたをぎゅっと閉じたまま、きれぎれのか細い声でエクスタシーの接近を知らせる。直後、かおりの体が反り返り、何度か全身を震わせた。花芯が健志のものをヒクヒクと締め付ける。健志は動きを止め、かおりの中に熱いものを注ぎ込んだ。
余韻にひたるような気分ではなかった。罪悪感とも寂寥感ともつかない、最悪の気分。かおりの言葉が胸につきささるようだ。
(『いい人なのかと思いはじめてたのに』か……今さらいい人になんかどうやってなれるんだよ)
すぐそばでまだ肩で息をしているかおりの顔を見ながら、健志は自己嫌悪に陥っていた。
(俺は、かおりに何をしてるんだ?)
かおりが上半身を起こし、健志に背を向ける。散らばった服や下着を拾い集めて身につけているようだ。
「もう帰らないと……」