悪魔の義父-2
『顔色が悪いわ…風邪かしら? 熱はないけど、今日は大事を取ってゆっくり休んだ方がいいわ』
「うん…」
『こんな時くらい、由里子のそばにいてあげたいんだけど… 今日はどうしても抜けられない仕事があって…』
「ママ、私は大丈夫だから心配しないで…それよりか仕事遅れちゃうよ!」
『あっ、そうだったわ!由里子ごめんね。学校には電話しとくから…』
ママはそう言ってニッコリ微笑むと、部屋から出ていった。
私とパパの秘密―――もちろんママは知らない。
ママにだけは、絶対に知られたくない秘密だった。
なぜなら、ママは不器用だけど、私達家族をとてもとても愛してくれていたから…
秘密を知られて、ママが愛するこの家族が、バラバラになることだけは、どうしても避けたかった…
ママは古くからの女の友人と、美容コンサルタントの会社を共同経営する社長でもあった。
今流行の、新しい美容法や美容器具を紹介する為、最近はテレビに出たりもする。
ママは若いときからとてもキレイで、家に遊びにきた友達にも羨ましがられる自慢のママだった。
でもママはいわゆる仕事人間で、家庭には向かない人… 私を産んだあとも精力的に仕事をこなし、バリバリ働いた。
外に向かいエネルギーを発散することで、初めてキラキラ輝ける人なんだと思う。
その為、私は生後まもなく、早朝から夜まで保育園に預けられていたそうだ。
それを不憫に思った前のパパと、度々衝突を繰り返すようになり、私が歩きだす頃には離婚したらしい。
その後再婚するまでの間、私は母方の厳しい祖父母の家に引き取られ育った。
ママが祖父母の家に来る時は、いつもたくさんのおもちゃやお菓子を買ってきてくれた。