戸惑いの日々-5
「だってさっきの人…先生の彼女でしょ?」
『―――だった。…けど、鍵返してもらって―――終わらせたんだ』
「それじゃ…」
『…あぁ、これからはずっと一緒にいられる』
先生はそう言って、私の首筋に鼻先をうずめた。
『あ――、やっと由里子とこう出来た…』
首元にかかる先生の息がくすぐったい。
先生の安心したような声に、私も心からホッとした。
『ごめんな… ケジメつけるまで、俺、由里子とこうしちゃいけないと思って… でも予想以上に時間掛かっちゃったから、不安にさせたな…』
先生はそう言って、私の頭に大きな手を置き、こう続けた。
『俺にとって由里子は、ちゃんと向き合っていきたい存在だよ。どんなことがあっても守ってく!って決めたから… だからもう、何も心配しなくていい!!』
先生は、私の頭の上に置いた手で、頭を抱えるようにして、胸に抱いてくれた。
私は嬉しくて嬉しくて、熱い涙が止まらなくて…
いつまでもいつまでも、こうして抱いていて欲しいと思った。
あの日教室で起きたこと
―9ヵ月の軌跡― A
「戸惑いの日々」―完―