「わが愛しの貧乳美女」-8
思うに巨乳は血の滴るステーキのような存在で、たまに食べるのはいいが、とても毎日は食べられない類(たぐい)のものだ。
そこへいくと貧乳は白飯にミソ汁、それに漬物をつけた3点セットのようなもので、そのそこはかとない味わいに毎日食しても飽きるということがない。
貧乳フェチを任ずる誠一は、そんなふうに考えている。
ところで、貧乳スターがその小ぶりの乳房を、映画なり、グラビアなどで披露することはまずない。
まあ、当然といえば当然のことだ。
それが奇特にというか、演技派女優になるがゆえにか、知っている限りだが、これまでに3人の貧乳スターがスクリーンで乳房をあらわにしている。
桜井浩子、田中裕子、池脇千鶴の3人である。
桜井浩子といえばテレビドラマ「ウルトラマン」シリーズの科学特捜隊の紅一点フジ隊員を演じて、子どもたちに人気を博した女優だ。
その彼女が「曼陀羅」(71)はじめ実相寺昭雄監督の3本の作品で脱いでいるのだ。
彼女が初めて脱いだときは、それまでアイドル的な存在であったことと、そのあまりに貧乳だったことのダブルショックで、映画館内に異常などよめきが起こったという。
田中裕子が脱いだのは、83年公開の「北斎漫画」で、池脇千鶴のほうは「ジョゼと虎と魚たち」(03)のなかのことで、池脇は妻夫木聡とベッド
シーンを演じている。
このふたりも特筆すべき貧乳である。
余談だが、田中裕子の夫は歌手の沢田研二で、この沢田は田中と結婚する
前は、双子デュオ「ザ・ピーナツ」の姉伊藤エミと結婚していた。
この伊藤もまた貧乳であり、これを以ってわれらがジュリーこと沢田研二は、貧乳フェチと断じたいがどうだろうか。
一方、グラマー女優ばかりのように思われがちな外国人女優だが、先に述べたオードリー・ヘップバーンはじめ幾人かの貧乳スターがいる。
しかしというか、やはりというか、脱いで貧乳を晒している女優は少ない。
そのなかでの例外が、「愛の嵐」(77)に主演したシャーロット・ランプリングである。
編中、彼女がサスペンダーズボンを穿き、ナチス制帽を斜にかぶり、上半身裸で貧乳をあらわにしたシーンは、退廃的官能美の極致でゾクゾクするような昂奮を覚えたものだ。
彼女ら貧乳女優たちの勇気に感謝。
貧乳フェチの亀井誠一は、いつもその感謝を忘れていない。
(了)
※本作品は筆者が某アダルト雑誌に発表した作品に、大幅な加筆修正をして改訂したものです。