ラブホーム-娘--2
「アタシが苦手で食卓にはたまにしか並ばない、揚げ物だよ?大っ好きだけど、苦手だからたまにしか並ばない、揚げ物だよ!?」
そこまで言わなくても。てか、もうカラアゲって言わないんだ。
「それなのに、出したらもったいないじゃん!」
そういう問題だったんだー。痛みとか怪我とか二の次なんだー。
どうりで眼球直撃について触れない訳だ。その怒りは全て、腹部への衝撃によるものだったのか。
「確かにそうだな」
あ、そうなんだ。
「でも、あれか。お前は自分が良ければいいってやつか」
父の反撃キター。
「は?」
「自分の食ったモンが出なけりゃ俺の食ったモンは出てもいいのか」
おっしゃる通りですな。ごもっともな意見ですな。
「え…」
まさかの形勢逆転にさすがの母ちゃんも押され気味ですな。
「じゃなきゃ鳩尾に踵落としなんてしねーよなぁ、普通」
「そ、それは…」
でも母ちゃん、普通路線から若干外れてるけどね。
「自分を守れれば他人を犠牲にしてもいいのか?」
てか、何の話だっけこれ。
あぁ、吐くか吐かないかの話だ。
守るとか犠牲とか、父ちゃんの例えはいっつも大袈裟過ぎるんだよね。
話が極限まで飛躍し過ぎな気がしないでもないけど…まぁいいや。もーなんかめんどくさー。
「……うぅ」
母ちゃんなんてもはや泣きそうだしね。
「…うぅぅぅぅぁぁぁあああ!」
えっ!?何っ!?壊れたっ!?
「いいっ!」
開き直ったー!
破壊の先にあったのは開き直りだったー!
「へ?」
そりゃ父ちゃんもびっくりですよねー。
「いいんだもん!アタシの守れればいいんだもん!いいんだもん!いいんだもんー!」
「何だと、お前ー!それでも大人かー!そんなジャイアン思考許されると思ってんのかー!」
ああ…。ああ…!
父よ、母よ、ヒートアップし過ぎだよ。
ここは私が一肌脱ぐしかないか…!