……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」-38
「なんか、すごいね……セックス……」
「そう? うん。でも、多分美奈子とだから特別なんじゃないかな?」
「君っていつもそういうこと言ってるの?」
美奈子は疑惑の半眼で彼を見つめるので、紀夫は慌てて手を振って弁明する。
「違いますよ。その、本当に……本当に美奈子先輩として俺……、すごく……」
言葉を選ぶのが苦手な紀夫は視線を落としたまましばらく黙る。
初めて理恵を抱いた新鮮さ。
里美に気付かれまいと腰を振った紅葉との行為。
煽り煽られるままに身体を重ねたスポーティな綾との行為。
どれとも違う、純粋にセックスの快楽に耽るための行為。
それがまさか美奈子と共有できるとは……。
射精こそしていないものの、その驚きに彼はある種の感動を覚えていた。
「先輩として、初めてエッチの奥深さを知った気分です……」
「そう。じゃあそういう事にしといてあげる……。なんかあたしもすごい気持ちよ
かったから、君のいうことも本当かもね……」
タオルケットを畳み、服を正す美奈子。彼女は携帯を手探りで探しだす。
「え? もう帰っちゃうの?」
「うん。あんまり遅いと紅葉も変に思うでしょ?」
「そんな……だって……」
とにかく気持ちのよいセックスが出来た興奮と感動を伝えたくて彼女が目覚めるの
を待っていた。そして改めて行為に及ぶつもりだった紀夫にしてみればそれは切ない
どころではない。
裏切られたとすら思う彼は唇をぎゅっと噛むも、それが思い違いもよいところと分
かってもいる。
「先輩も気持ちよかったですよね……」
「うん。すごく。っていうか、イクってすごいね。なんか頭ん中真っ白っていうか、
何も考えられなくてさ……やっぱ生だからかな? なんてね……はは……」
携帯を拾いあげてチェックすること数回。新着メールへの返信を困っている様子だ
が……、
――先輩、美奈子のお尻……。
ヒナ座りする彼女のハーフパンツは少しずれており、先ほどの水色のショーツが見
えている。
「ねえ聞いてよ。あたしの友達さっきキスしたんだって。なんか彼とのファーストキ
スだからってさ、笑っちゃうよね……」
「ええ……そうですね……」
けらけら笑うと少しだが、水色の布がずれ、代わりに割れ目に通じる道が見える。
「しょっぱくてラーメンの匂いだったってさ。まあ君とのキスはちょっとお茶の匂い
したけど、君上手だよね?」
「そうですか……そうかも知れませんね……」
彼自身も気付かぬうちに一歩近づいている紀夫。