ニコニコ-3
「…ごめん、ごめんね」
「なに泣いてるんだよ、大丈夫?」
そう言って彼は、いつものニコニコで頭を撫でてくれた。
「お前は怒ったり泣いたり大変だなぁ」
「……あんたは笑ってばっかりだから、その分あたしは感情が豊かなの」
すると、彼はまた真顔になった。
「…嫌なことを嫌だって言わなかったのは謝る。さっきのキャバクラのことも、本当は嫌だったんだ。お前を他の男には指一本触れさせたくないんだよ」
そう言って抱きしめてくれる彼。
やっぱり優しくていいやつだ。
「ありがと…あれ、嘘なんだ」
「そう…ってええ!」
彼はすごい速さで飛び退いた。
「ごめんね、怒ってくれるかなって思って」
「キャバクラって聞いたとき俺、手震えてたからね」
彼が笑う。
あたしも笑う。
「本当にごめん。あんたの優しさ、ちゃんと今度からは大切に受け取るから」
そう言って、今度はあたしから彼に抱きついた。
そのときの二人はすごいニコニコしてたと思う。