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ニコニコ
【理想の恋愛 恋愛小説】

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ニコニコ-2

結局、近くのコンビニで少し時間を潰してからあたしは家に戻ってきた。


「おかえり」
ニコニコしてあたしを迎え入れる彼氏。

「ねえ、ちょっと座って」
あたしは入るなり、リビングに彼氏を呼んだ。

彼氏はニコニコしたまま迎いに座る。

「なに?」
「あんたさ、あたしといて楽しいの?」
「え?」
唐突な質問に、彼氏も少し戸惑っている。
「答えてよ!」
「そりゃあもちろん、楽しいよ!」
ニコニコ。
「どこが?」
「だってお前は本当に綺麗だし、自慢の彼女だから!」
ニコニコ。
「それって楽しいのと違うじゃん!ムカついたりしないの?いつもあたしの言うことにうんうん頷いてさ!」
「それは…でも、俺はそれでいいんだ」
ニコニコ。
「もう限界!あたしはね!あんたを怒らせたいの!んーん、違う!あんたに怒ってほしかったの!だめなことはだめって!嫌なことは嫌って!」
「…え」
「でもあんたはいつもニコニコしてさ!あんたはそんなんで楽しいのかって聞いてんの!」

初めてここまで本心をぶちまけた。

「…ごめん」
「え?」

彼氏は笑顔もなく俯いた。

「俺ってさ、上京してきた田舎もんだし、全然モテたことないし、なんにも自信ないんだ。でも、お前みたいな綺麗な子が付き合ってくれてさ…本当にうれしかったんだ」
「…」

眉をひそめた真顔の彼氏、久しぶりに見た。

「お前にだけは嫌われたくなかった。それに、お前の喜んでくれたときのニコニコした顔が大好きだから…」
「…」
「だから俺もニコニコして、できるだけお前の望むようにやってきたんだけど…お前はそれが嫌だったんだね…」

最後まで言って、しゅんとする彼氏。


「……」

彼氏の本心を聞いて自分がばかだったと痛感した。

全部あたしのわがままだったんだ。
彼氏は最初からずっとあたしを気遣ってくれてた。

気付けばすれ違っていたと思ってたけど、すれ違わせていたのはあたしだったんだね。


ニコニコを否定してた自分がばかみたい。


「あんたは決してだめな男じゃないよ…だってたくさん助けられたんだもん」


その笑顔に。



辛いこと、悲しいことがあったときのニコニコは精一杯慰めてくれてたんだね。

嬉しいこと、楽しいことがあったときのニコニコは一緒に喜んでくれてたんだね。


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