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幼なじみの法則
【幼馴染 恋愛小説】

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幼なじみの法則B-2

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今日は家庭教師の日。大学の友人に飲みに誘われたがそれを断り、自宅に向かう。
もう真っ直ぐの道を歩くだけだ。そのまま進むと右手にかなの家があり、その奥に歯科医院、つまり俺の家がある。

人影がひとつ、見える。
俺は視力が良くない。その割にコンタクトは面倒で、勉強する時やテレビを見る時以外は裸眼で過ごしている。
はっきりとは見えないけど....あれはかなだよな?
なぜこんな寒い中、外で突っ立っているのだろう。

自転車が一台、のらりくらりと歩いていた俺を抜かしていった。最初はその自転車に乗った人物なんて気にもとめていなかったが、その自転車はかなの目の前で止まった。

(かなの友だちか....?)

あの背丈からいって、男だよな。
かなが何かをその男に渡し、なにやら楽しそうにじゃれ合っているのが見える。

(彼氏....?ではないよな?)

かなの性格から言って、彼氏ができようものならすぐに報告する筈だ。
別に動揺なんてしていない、あんな中学生相手に。そう自分に言い聞かせる。

だが、つい足元が留守になってしまった。
というより、動かなくなってしまったのだ。
男が一歩かなに近付き、何か手を動かしている。
その後、男の顔がかなの顔の奥にかぶさり、何をしているのか見えなくなった。

(頬?首?ここの角度からはわからないが....キスしてる?)





その光景を見た瞬間、つい声を出してしまった。


「こらー。家の前でそんなことしてると、おばさんがびっくりするぞー」


いかにもドキリとしたかなが、こちらを見た。
男はゆっくりとかなから離れ、じゃあ、というジェスチャーをかなにして、もう一度自転車に乗った。
そうして俺の前を通り過ぎる時、先ほどとは違いスピードを緩め、俺に会釈をしていった。

だがわかった。やつの視線で。



あいつ、中坊のガキのくせに....俺に喧嘩売ったな....?





その後俺は何事もなかったようにかなの前に立ち、“大人の対応”をする。


「おじさんもおばさんも今日はいない日だろ?内緒にしといてやるよ、今回は。」

「かなももうすぐ高校生だもんな。そりゃ彼氏だっているよな。」





そんなこんなで、自宅に戻った俺は冒頭に戻る。
イライラしている。そんな自分にイライラする。

何が“大人の対応”だ。
中学生を相手に、動揺を隠そうと必死になっているくせに。


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