超最強嫉妬彼女 後編-7
***
「どこ行くの?喫茶店とかじゃないの?」
今度は俺が花耶の前を歩く。
川沿いの道は相変わらず静かだ。
「……ここだ」
しばらくいつもの道を二人して歩いたが、俺は大きな建物の前で立ち止まった。
「ここって公也の住んでるマンションじゃない!」
そう、ここは俺の家があるマンション。
ここに優子はいる。
俺は無言でオートロックを解除して部屋へと向かう。
「待ってよ公也!」
「なんだよ」
「……会ってどうするの?」
花耶は困った顔をしていた。
「お前にわかってもらう。優子は違うってことをな」
「……」
まさか俺の住んでいるマンションに来るとは思っていなかったのだろう。
「早く乗れよ」
「やだ…行きたくない…」
花耶は続けてエレベーターに乗るのを拒む。
「いいのか?」
「……行くっ!」
先ほどのことが頭から離れないのだろう。
会わなければ別れる。
ごめんな、花耶。
こんなこと言って。
***
マンションの七階でエレベーターを降りる。
そして三つ目の扉の前で立ち止まる。
「ここ、俺んち」
「ふぇ?」
鍵を開けて中に花耶を招き入れた。
「一緒に暮らしてるんだ」
「は?」
「ユウコと!」
花耶は泣きそうだ。
「ちげーよ」
とりあえず俺の部屋に入る。
「……」
花耶は落ち着かない様子で座った。
「前から俺の部屋に行きたいって言ってたじゃねえか。もうちょい楽しそうにしたらどうだ」
「できるわけないでしょ!」
まあ、それもそうだな。
花耶はきょろきょろと部屋を見渡していたが、やはり頭の中は優子のことでいっぱいになっているようだ。
「……じゃあ、優子に会うか」
「……うん」
花耶は少し躊躇ったが、ゆっくりと首を縦に振った。