操れるかも! 操られるかも!?-23
今の由希子さんの瞳に俺は映っていない。俺の面影にあ
る母さんと、その向こうにいる親父を見ている。
俺が俺である理由がない。
俺の自己主張など望まれていない。
今の由希子さんは残酷だ。
さっきまでの優しい由希子さんはどこかに消えてしまっ
ている。
俺はこんな由希子さんと長くいることはできない。
由希子さんの身体に残っていた全ての布を取り去ると、
あらわになった両方の胸を握りつぶすかのように力強く掴
む。
「くあっ、い、痛い……でも、それで、い、いの……もっ
と、もっと苛めて! ……もっと責めてぇ!」
俺のものは由希子さんの中を激しく往復し、底を突いて
は由希子さんの腰を跳ね上げる。
呻く由希子さんの首筋の美しさが俺の腰の動きをどんど
ん凶暴なものにさせる。
俺は由希子さんの両脚を掴んで大きく左右に開き、結合
部をよく見えるようにして最深部を突く。
「あっ、あっ、あっ、そ、そん、な……あうぅ」
「……いや?」
俺は腰を振りながら久しぶりに声を発する。
「……ううん……い、いいです……もっと、もっと責めて
くださ……い」
俺は由希子さんの脚を自分の体重をかけて押し上げ、由
希子さんの身体をくの字にして犯す。
由希子さんの顔が苦痛で歪む。
俺はとにかくことを早く終えたくて、由希子さんの熱い
しぶきを受けた股間を容赦なく打ちつける。
「ひ、ひっ、ひぁっ、あっ、ああっ、あっ、あっ」
由希子さんの目は見開かれたままで、しかしどこにも焦
点を合わせることができずに宙をさまよっている。
俺のモノには体内から湧きあがってくるものの気配が伝
わってきている。
二人が、もうすぐこの甘くて残酷な時間から解き放たれ
ようとしていた……ところに……
ドタドタドタ……と二階からけたたましく階段を降りて
くる音とキィ……バタンとドアを開け閉めする音が鳴り響
き、二人の耳に届いた。
美奈子だ……美奈子がトイレに起きてきたんだ!
俺と由希子さんはフィニッシュ直前の熱気から途端に血
の気が引いてくる……
俺と由希子さんはしばらく音をたてずにしっかりと閉じ
られた扉の向こうの様子をうかがっていた。
美奈子がとっくに営業を終えたはずの喫茶店に明かりが
ついていることに気づいたら不審に思って様子を見にくる
かもしれない……そう思った俺が照明のスイッチを切ろう
と由希子さんの身体から起き上がった瞬間……トイレの水
が流れる音とトイレのドアが開く音が聴こえ、用を足した
美奈子が出てきてしまったことを覚らせる。
こうなるともう、美奈子が喫茶店の明るさを気にとめず
に二階の部屋まで戻ってくれるのを期待するしかない。
今さらスイッチを切れば、扉の隙間から漏れる光が急に
なくなってかえって美奈子に気づかせかねない。
服を慌てて着ようにも由希子さんは全て脱いでいて、今
からではとても間にあわない。
俺と由希子さんは息を潜めて微動だにせず美奈子が階段
を再び戻っていくのを願う。
すると美奈子は喫茶店の扉から漏れる光に気づかず階段
の方へ向かったようで足音が遠ざかる。
俺と美奈子さんはホッと胸をなで下ろしたが、それも一
瞬であった。
美奈子の足音は階段を登りかけたところで止まってしま
い、その後再び喫茶店の方に近づいてきた。
……気づかれた!
俺と由希子さんは絶体絶命の危機に陥ったことを覚る。