DMAI1-8
『ドンッ!』
「うおっ!?」
「大砲だな………。出発するみたいだ」
「で、なんで私たちはこんなボロい船で宝探しなのよ!」
大輔と陽子は海の上に2人っきりでいた。
翔太たちのような船ではなく、小舟で自分たちでオールを漕いでいた。
「しかも速すぎ!」
「こんなん波や風、船にかかる重さを考えれば力がなくても速くなるさ。さっきおれが言った通りに漕いでくれよ」
「全く………気味の悪い」
「それに、地図なんかなくても目標物は見えてるんだろ?だったらさっさと行ってしまおう」
20分ほどひたすら漕いで、大輔たちの船は翔太たちを乗せた船が米粒に見えるほどのところまで来た。
「ふぅ………ふぅ………」
「ん!?」
「……な、なによ………?」
「あれ」
大輔は漕ぐのを止め、左の方を指差した。
「あれが海賊船か?」
「で、でしょうね………あの数」
「数ならほぼ互角ってとこかな?」
そこには船の大群があり、大輔たちが来た方に進んでいた。
「翔太たちに何もないといいけど………」
「のりがいりゃなんとかなる」
「そうね。のりには生きててもらわないと困るしねー?」
「はっ、別に」
また沈黙になり2人はひたすら漕ぎ続けた。
「ふぅ、お疲れ様」
「こ、この辺………?」
「地図によると、そうみたいだな」
また約20分、街から計40分ほど漕いで地図に載っている×印の近辺にやってきた。
「たしかにこの辺なんだが………」
大輔たちがやってきたのは密林。
ずっと海を渡ってきたが、今は川に入ったようだ。川の流れに逆らうように進んできたわけだ。
「ん〜………よし!」
何かを決心したような声を大輔があげると、大輔は小舟を岸につけた。
「どうしたの?」
「ちょっと泳いでくる」
そう言い、大輔は上半身だけ服を脱ぎ川に飛び込んだ。
(たぶん調べ済みだが………)
川は水深が深く、10メートルほど潜って底についた。水はなかなか綺麗で視界は少し悪い程度だった。
(ん〜………)
川の底で大輔は悩んでいた。 しかし、息も続かなかったので小舟に上がった。