美奴隷・女として(1)-1
(1)
その日は、
暖かく少し春になりかけた日差しが、私の部屋に差し込んでいました。
午後過ぎの少し太陽が高く上がったときに、
金色の光は少し開けた障子の隙間から、柔らかな暖かい矢束のように
青い畳の上を照らしているのです。
今年は暖冬のせいもあるのでしょうか、
早くも庭にある梅の木の芽も吹き出して
木々や小枝に薄紅色の花を咲かせているのです。
小さな葉も少し緑を含み、
色づけをして春への息吹を感じさせてくれます。
私はこの頃になると少し心嬉しく、
何故か華やいだ気持になってくるのです。
それは私が女として、少しでも美しく心安らかに生きていたい・・
と思う女の儚い夢なのかもしれません。
見渡せば、
少し広い庭には球根から芽を出した赤いチューリップやヒヤシンス、
そして可憐な白い鈴蘭の花が優しい色を付け可憐に咲いているのです。
庭に出てしゃがみ、
その花に手を触れそっと頬に付けるのです。
するとその花は素敵な匂いを放ち、
健気に生きようとする命と、
可憐さに私は嬉しくなってくるのです。
そして私が花びらに口づけすると、
花は私に微笑み返し、喜んでいる・・
・・と、そんな気がするのです。
今私は久しぶりに出かけるために箪笥の引き出しを少し開け、
その中の奥の方にしまってある下着を選んでいました。
そこには白いレース模様や、
薄色のピンクの下着などが色とりどりに慎ましく、
小さくきちんと収まっているのです。
私はこれらの可愛らしく少し大胆な下着を見る度に
胸がドキドキしてくるのです。
そのわけはこれから少しずつお話していきましょう。
私の夫は上場会社の重役をしていますが、
夫は家にいることがあまり無いのです。
それは仕事だけでなく、
休日にはゴルフの招待があると言っては良く出かけます。
私達は見合い結婚でしたが、
いつからか夫婦の関係は無くなっていました。
それが私のせいか、そうでないかは私にはよく解りません。
あるとすれば私が大人しく、人見知りで内気な性格でしたので、
派手好きな夫はいつからかそんな私がつまらなく、
抱く気にならなくなったのかもしれません。